こじれる領土、どう打開(9面・日曜に考える)
中国の反日デモが異様な盛り上がりを見せたまま、9.18を迎えようとする中、タイムリーな記事として、「創論」のコーナーが竹島や尖閣諸島、北方領土を巡る摩擦について取り上げていた。
高原明生・東京大学教授、古川浩司・中京大学教授の二人のうち、古川教授の意見が印象に残った。
−領有権を永遠に棚上げすることは可能でしょうか。
「暫定水域や共同開発などを通じて経済的利益を共有し、対立が薄まれば領有権の問題を解決しなくてはならない動機はなくなる」
ここで想定しているのは、主に北方領土問題ということになるが、4島返還に頑なにこだわることは、経済交流を通じた活性化を望む地元との意識のずれを大きくする。ビジネスの機会ということを考えれば、例えば2島あるいは3島返還として経済的利益を得る方がいい。実際、ロシアとの領土交渉も、その流れで進めてきたのに、菅直人首相がそれを無視して「4島占拠は許しがたい暴挙」と発言し、問題が深くなった。
竹島、尖閣諸島ともに、すぐの解決は難しく、継続的に一貫した交渉が必要であり、国民としても、それを後押しできるよう、現代史や領土問題について勉強していく必要がある。
「原発ゼロ」ほころび拡大(3面)
枝野幸男経済産業相は15日、Jパワーの大間原子力発電所(青森県大間町)と、中国電力の島根原発3号機(松江市)の建設継続を容認する考えを表明した。ただ、大間原発などが稼働すれば、廃炉は2050年代にずれ込む。30年代に原発稼働ゼロをめざす政府方針と整合性がとれず、政策は早くもほころびが広がり始めた。
大間の原子力発電所は東京電力、東北電力ではなく、Jパワー初の原子力発電所ということで、経緯を見ると昭和50年代から建設に向けて動いてきたもの。これについて、新たな技術的判断抜きに建設継続を容認することは、「原発ゼロ」がいい加減な口約束であることを証明するにほかならない。以下に述べる韓国の状況を含め、全方向的に考えて、着工済みの大間以降の新設は認めないが、現時点では「原発ゼロ」の時期を明確にできない、とした方が、より誠実だったと思う。
韓国、原子力大国への野望/「再処理の特権」米に迫る(13面・日曜に考える)
韓国・釜山(プサン)市の中心部から車で約40分。日本海を望む広大な敷地に、韓国で最も古い古里(コリ)1号機を含む6基の原発が動いている。ここに3月、政府肝煎りの学校が開校したというので行ってみた。…
韓国は2030年に発電量に占める原発比率を現在の約30%から59%にする目標を掲げ、稼働中の原発は23基。国内の電気の安定供給とビジネスの種として原発を推進する。
東日本大震災前の日本と似ている状態なのかもしれない。
ただし、日本と大きく異なるのは、米国との原子力協定。核兵器の原料となるプルトニウムが出る再処理を認められている「特権国」日本に対して、韓国は認められていない。使用済み核燃料の貯蔵が2016年ころに飽和状態になることから、再処理を熱望しているというのが記事の論旨。
なお、韓国国内では、脱原発の声は野党から上がっているものの、世論の盛り上がりは欠いているとのこと。
今回の自民党総裁選で、石破さんは「米国への通告のないまま原発稼働ゼロを打ち出したこと」を「原子力協定との整合性」の観点から批判していて、ピンとこない部分があったが、韓国との対比から「特権国」であることを考えてみて、そういった点まで意識が必要という部分が理解出来た。
読書欄
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人間のある活動が、どのくらいの間隔で行なわれるのかを調べると、その間隔が「ベキ法則」に従っていることが明らかになった。つまり、ほとんどの時間は何も起きないが、あるとき突発・集中的に活動がなされるのだ。このような現象を「バースト」(突発)現象という。
最新の研究成果だけでなく、それに取り組む科学者の試行錯誤が描かれているということで、面白そう。
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青森沖のマダラからセシウム/実態つかめぬ海の汚染(15面・科学)
マダラに標識を付けて移動範囲を突き止める調査が始まったがなかなか難しいという。
- 放流には元気な状態が望ましいが、深い海にいるマダラを捕らえると、水圧の急激な変化で死んだり痛んだりする
- タラの仲間は引網などで一度に大量捕獲されるため、タグ付きの魚が混じっていても気づかれず報告されてこないケースも多い
ということで、先日のウナギでも出てきた話だが、元気な状態で標識をつけて、それを回収することができて、はじめて移動経路が確認可能ということのようだ。