Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観10/14(日)

週に一回だけでも続けることに意味があると思っている。

銃声のないミャンマーに/試される日本の外交力(28面・中外時評)

日本とミャンマーとの繋がりについて、近年70年程度を振り返る内容。
日本は、ミャンマーの最大の援助供与国であり、70年以上友好的だった関係は、2006年9月の国連安保理決議(ミャンマー民主化問題を公式議題にするかどうかで賛成に回った)を境に微妙になったという。今回の事件を機に、ミャンマーの軍政にどのように向き合うかが試されている、というのが主題。
ところで、現在、ちょうど『ミャンマーの柳生一族』なるノンフィクションを読んでおり、一気にミャンマー情勢に関心が高まっている。
殺害された日本人ジャーナリストの長井健司さんが取材していた反政府デモ、デモ弾圧を支持したのは、軍政の最高実力者タン・シュエ議長。『ミャンマーの柳生一族』では「三代将軍・家光」とされる人物で、同書では、亡くなったアウン・サン将軍を幕府の祖である「徳川家康」と位置づけている。タン・シュエ家光とスー・チー千姫の今後の流れに注目したい。

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

岩男寿美子外国人犯罪者』(24面・読書)

少子高齢化が進む日本は多様な外国人を生活者として受け入れる道を歩まざるを得ない。しかしそれは「国際交流イベントに代表されるきれいごとの国際化」では実現しない。

つまり、増え続ける外国人犯罪にどう対処するかが大きな課題だ、というのが著者の主張。まさにその通りだと思う。少子化対策の一つのシナリオとしても読んでみたい。

戯作の時代(3)−偽紫田舎源氏(20面・美の美)

江戸時代最大のベストセラー『偽紫田舎源氏』(初編は1829年)について。

戯作者と浮世絵師は「にせもの」作りにいそしんだ。彼らは翻案やパロディー、見立てを駆使して古典や故事を自在に読み替え、登場人物に新たな命を吹き込む。

パクリは、日本の伝統芸だったという話ともいえるが、中で取り上げられている「見立て」に注目。

「日本人の創造には、ヨーロッパ文化に於ける創造性とはかなりちがうものがある。それが『見立て』である。本物それ自体では、意味も趣向もない」(郡司正勝『風流の図像誌』)

上に挙げた、『ミャンマーの柳生一族』こそ、まさに「見立て」芸が炸裂した本。本物それ自体を書くよりも、ずっとわかりやすくミャンマーという国の魅力が伝わる。いわゆる「パクリ」の枠をはみ出る「見立て」という技法は、今後もうちょっと意識していきたいと思う。

ITで急報子どもの危機/品川では10例以上防止(12面:家族会議)

品川区のシステムは、子どもに配られた防犯ブザーのピンを引くことで異常を送信。発信場近くの登録住民等に連絡が行くシステム。

  • 05年12月の本格稼動以降、毎日平均40件程度の発信
  • ミスがほとんどだが危急例を阻止したのが10例

という状況を見ると、成功というより徒労という感じもするが、システム導入が抑止効果につながっている、とのこと。課題として挙げられているのは、やはり誤報の問題とコスト。品川区は年間1億6千万で、さいたま市のある小学校では、月額700円程度の負担を保護者に求めることにしたという。
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見出しの印象とは異なり、順調でないというのが感想。やはり子ども自身の危機意識と自衛能力向上が重要か?我が子には武道を習わせる?

原材料高、メーカー直撃/見えてきた再編淘汰(1面・価格攻防(下))

原材料高の原因は(1)新興国を中心とする世界的な需要増(2)バイオ燃料関連(3)投機マネーの流入
一方で、供給過剰な豆腐業界や鶏卵などは、販売先からの値下げ要求が厳しいという。
結果として、大手を含めた淘汰・再編が待っているというのが記事の流れ。例として不二製油とJ-オイルミルズの資本・業務提携について紹介されている。
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値上げ、値下げの板ばさみで、大変な状況にいる世界もあるようだ。どこの業界も必死なんだなあ、とため息。