Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

安彦良和『ナムジ』★★★☆

ナムジ―大国主 (1) (中公文庫―コミック版)
さて、古代史への興味の火を消さない、ということで手に取った本第一弾。
主人公のナムジは大国主命(別名オオナムチ)のこと。
yahoo!辞書(大字泉)によると、以下のとおり。

素戔嗚尊(すさのおのみこと)の子、または六世の孫とされ、出雲大社の祭神。少彦名命(すくなびこなのみこと)とともに、中つ国の経営を行ったが、天照大神(あまてらすおおみかみ)の使者が来ると国土を献上してみずからは隠退した。医療・まじないの法を定めた神とされる。因幡(いなば)の白兎の話は有名。中世以来、大黒天と同一視されるようにもなった。別名は大己貴神(おおなむちのかみ)・八千矛神(やちほこのかみ)・葦原色許男命(あしはらのしこおのみこと)など。古事記では大国主神

大国主は『竜の柩』でもスサノオと同様、かなり大きな扱いになっているが、スサノオとそれほど近い縁の者という書き方はされなかった。しかし漫画の中では、スサノオの娘スセリの夫、ということになっているので、上の「子、または六世の孫」という部分の解釈の差によるのだろう。そのほか、漫画の中では、因幡の白兎の話も出てくるし、スクナビコナも主要なキャラクターとして登場する。
実は、この漫画は、はじめのほうの巻だけ学生時代くらいに読んだことがあったが、そのときは古事記自体についての知識がゼロだったので、よく意味がわからなかったし興味をもてなかったが、今は、安彦良和は「こういう解釈なのだ」という読み方ができる。
物語後半では、『竜の柩』では、あまり触れられなかった、卑弥呼との関係の中で話が進む。ここら辺は、知識不足の感も否めないので、もう少し勉強が必要かも。(どこら辺までが、資料に基づいており、どこら辺からが創作なのかがよくわからない)
いずれにしても、こういう本は、ある程度基礎知識があるとないとでは大違いということを感じた。逆にそういう意味では、そこまで詳しく説明してくれている『竜の柩』は丁寧でわかりやすい。
さて、国譲りで重要な役割を果たすタケミナカタは登場するものの、国譲りの話から神武東征までは、続きである『神武(カムイ)』の方で描かれるとのこと。これも早く読まねば。