Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

オリジナル・ラヴ『Rainbow Race』に見る「銀河鉄道の夜」

RAINBOW RACE

RAINBOW RACE

妄想世界にようこそ。(笑)
オリジナル・ラヴの5thアルバム『Rainbow Race』は、その全体的なバランスから、自分の中でもトップを走るほど好きなアルバムで何度聴いても飽きない。(現在のところベストアルバム*1
このアルバムと宮沢賢治銀河鉄道の夜」の関わりは何か、といえば、端的にいってアルバム収録曲「流星都市」の歌詞にある。

夜のフィルムに瞬く銀河ステーションの下
東京タワーは静かに輝き盛り
淡く高層ビルの隣
ケンタウルスが浮かび出て

「銀河ステーション」は、ジョバンニとカムパネルラが銀河鉄道に乗った駅の名で、その日は「ケンタウル祭」だったことから考えると、意識的にせよ無意識的にせよ、「銀河鉄道の夜」が頭にあったと考えてもおかしくないと思う。
月刊カドカワの、本人によるアルバム解説にもそういったことは微塵も書かれていないが、田島貴男の頭には宮沢賢治があったと仮定して次に進める。)
そう考えると、「銀河鉄道の夜」の8章のタイトル「鳥を捕(と)る人」も、何となく『Rainbow Race』収録の名曲「夢を見る人」と重なってくる。
「鳥」について、もう少し加える。ジョバンニとカムパネルラが「鳥捕り」からもらった雁を食べさせてもらうシーンだけでなく、銀河鉄道には「白鳥の停車場」という駅もあり、作品の中での印象として「鳥」というのは、小さくない部分を占める。
一方で、『Rainbow Race』は10曲目のタイトルが「Birds」である。のみならず、ジャケット(上に引用したもの)はNorman Parkinson の"Birds Island"という作品*2であり、このジャケット自体が「鳥を捕(と)る人」のイメージと重なる。
また、「夢を見る人」は、歌詞の中に「チケット」「レール」「列車」が出てくる曲で、こちらも「銀河鉄道」を想起させる。
さらには、アルバム中に頻繁に表れ、コンセプトのひとつである「夢」自体が、「銀河鉄道の夜」の中でも何度か現れ、物語の重要な部分となっている。
思い立って、「田島貴男 宮沢賢治」で検索してみると・・・。

{田}色々ね、松本さんの良い所、沢山あるんだけどさ。何をって、パッと一言でって、出来なくて
{小}ああ
{田}色々考えたり。松本さんの、どこが好きなのかな。・・松本さんの詞ってさ、黒人が歌詞にするエロティシズム、マーヴィンゲイみたいな。ああいうのではなくて、違うエロティックな所が、あるでしょ
{小}ああ。またちょっと視線が違うっていうか
{田}全然。だから、宮沢賢治とか、稲垣足穂が持ってるようなエロティシズム
{小}ああ
{田}何つったらいいんでしょうね??、そういうエロティックな感じ、あるじゃない
※{田}は田島貴男、{小}は木暮晋也(本来なら{木}なのですが・・・)

2002年のラジオ番組で、田島貴男は、松本隆の歌詞に、宮沢賢治を感じていることを話していることがわかる。*3
ということで、直接的な繋がりは把握できなかったが、僕個人の中では、二つの作品はかなり近い関係で結ばれたのでした。

補足

originalovebeerさんにコメントで教えていただき、web上で、Norman Parkinson の“Bird Island”の実写真を見つけましたので。画像リンクしておきます。(右下の絵)
http://www.luminous-lint.com/imagevault/html_5501_6000/5713_std.jpg

参考(過去日記)

*1:以前のランキングでは、5位としているが、他の人へのオススメ度やアルバムのインパクトを重視して選んだ結果であり、自分の偏愛度だけで図ればやはり『Rainbow Race』(もしくは風の歌)http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20050412#OL

*2:個人的には、未確認です。追加情報があれば教えてください。originalovebeerさんのコメントを参考にしています。→http://tajimaholic.blog43.fc2.com/blog-entry-202.html#comment ⇒その後、コメント欄で詳細を教えていただきました。ありがとうございます。

*3:ラジオ聞き取りは、PrimaHumStarさんの成果です。素晴らしい!http://listen.wablog.com/