- 作者: 麻生太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/06/10
- メディア: 新書
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- はじめに
- 第一章 アジアの実践的先駆者
- 日本は必ずよくなる/成功も失敗も進んでさらけ出す国/安定化装置としての役割/アジアの幸福
- 第三章 高齢化を讃える
- 若さは至上か/還暦過ぎたジョン・レノン/老人の労働力
- 第四章 「格差感」に騙されてないか
- 平等が生み出す不平等/なんとなく気が晴れないだけ?/教育は格差より悪平等の問題
- 第七章 新たなアジア主義----麻生ドクトリン
- おわりに
1〜5章は、とっつきやすい、いわば「逆説・日本のこれから」といった内容で、徹底的に日本を持ち上げて、6、7章で持論を展開という感じ。
全体的に読んでいて気持ちがよく、政治家の話を聞いたという気持ちがしないのは、かなり夢のある内容だから。安倍信三であれば、「〜ねばならない」と道徳的に説く部分を、「私たちは、〜ができる」と、日本人の可能性を前向きに説く。『美しい日本』が、内容のよしあしは別としても、全編に渡ってマニフェスト的=政治家的であったのとは対照的であり、壮大なホラ話を聞かされたような感じがする。
かなり荒唐無稽なアイデアが出る部分もあるが、話の流れからか、それなりに納得して読んでしまったのは、話の上手さもあるのだろう。6章、7章の雰囲気は、それまでとは異なり、政治家的な内容になるのだが、5章までの「麻生節」の勢いがまさり、何とか、そのままに読めてしまう感じだ。
全編を通して振り返ると、視点としては、非常に、共感できるところの多い、政治家らしくない政治家だと感じた。ただし、財政問題や年金・医療への踏み込みがあまり無いのは残念だった。一番、「とてつもない日本」が太刀打ちできない部分なのかもしれないが。