Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

麻生太郎『とてつもない日本』

とてつもない日本 (新潮新書)

とてつもない日本 (新潮新書)

目次は以下の通り。

  • はじめに
  • 第一章 アジアの実践的先駆者
    • 日本は必ずよくなる/成功も失敗も進んでさらけ出す国/安定化装置としての役割/アジアの幸福
  • 第二章 日本の底力
    • ニートも、捨てたもんじゃない/若者のソフトパワー/日本がロボット大国である理由/私は劣等生だった
  • 第三章 高齢化を讃える
  • 第四章 「格差感」に騙されてないか
    • 平等が生み出す不平等/なんとなく気が晴れないだけ?/教育は格差より悪平等の問題
  • 第五章 地方は生き返る
  • 第六章 外交の見取り図
  • おわりに

1〜5章は、とっつきやすい、いわば「逆説・日本のこれから」といった内容で、徹底的に日本を持ち上げて、6、7章で持論を展開という感じ。
全体的に読んでいて気持ちがよく、政治家の話を聞いたという気持ちがしないのは、かなり夢のある内容だから。安倍信三であれば、「〜ねばならない」と道徳的に説く部分を、「私たちは、〜ができる」と、日本人の可能性を前向きに説く。『美しい日本』が、内容のよしあしは別としても、全編に渡ってマニフェスト的=政治家的であったのとは対照的であり、壮大なホラ話を聞かされたような感じがする。
かなり荒唐無稽なアイデアが出る部分もあるが、話の流れからか、それなりに納得して読んでしまったのは、話の上手さもあるのだろう。6章、7章の雰囲気は、それまでとは異なり、政治家的な内容になるのだが、5章までの「麻生節」の勢いがまさり、何とか、そのままに読めてしまう感じだ。
全編を通して振り返ると、視点としては、非常に、共感できるところの多い、政治家らしくない政治家だと感じた。ただし、財政問題や年金・医療への踏み込みがあまり無いのは残念だった。一番、「とてつもない日本」が太刀打ちできない部分なのかもしれないが。