- 作者: 長嶺超輝
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 新書
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爆笑という要素は1%あったかどうか・・・。裁判官が無味乾燥な判決文以外に、被告人や社会に向けて発したメッセージを集めた語録。最高裁判所裁判官の国民審査では、訳も分からず印をつけさせられる身としては、裁判官という人への興味が沸くという意味だけでも、非常に意味のある本。
ひとつひとつの「語録」への解説は、無駄がなく、淡々としたものであり、そこが読みやすさの理由にもなっている。少し前に読んだ『へんないきもの』の早川いくおの、回り道が楽しい生き物解説とは正反対である。
ところで、今回、本の内容以上に、作者・長嶺超輝さんに興味を持って読んだ。
1975年長崎県生まれ。九州大学法学部を卒業後、弁護士を目指し、塾講師や家庭教師の指導と並行して司法試験を受験。七回の不合格を重ねて懲りる。現在はライター業の合間をぬって裁判傍聴に通う日々。
「語録」というスタイルを取っているこの本には、裁判官の名前と併せて発言当時の年齢の表記があるが、自分はこれにぐっときた。これを入れると入れないとでは、この本の価値が薄れるとさえ思う。
おそらく、司法試験に挑戦しながら裁判傍聴を続けた作者は、いつまで受験を続けるかの判断のひとつの基準として、一線で活躍する判事の年齢を確認していたのだと思う。50代が多いが40代前半や30代の判事の発言も収められており、作者と同じく30代半ばに差し掛かった一読者である自分としても「自分ならどういうメッセージを発することができるか」という視点がスリリングだった。