- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2009/07/03
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夏ちゃん(あと少しで2歳)が、これをじっと見るので、ぐずり出したときに有効というのもありますが、自分も大好きな映画だからです。
好きな理由は、ポニョと宗介のキャラクタの可愛らしさもありますが、第一には、その「絵」です。その全編が、絵葉書として成立しそうな「絵」は、とにかく見ていて飽きません。
特に「動き」のある絵としては、劇場公開時から好きだった、ポニョ率いる大波と車のカーチェイスシーン。ポニョが人間の体になってから宗介に会うまでの流れは、波の上を赤い服を着た女の子が高速で走って追いかけてくる、という、あり得ない感じがたまりません。
実際に起きたら大変なことになるはずなのに、妙にコミカルなこのシーンは、一方では、自然の無邪気、つまり「邪気がない」感じを、よく表しています。
最近、山の遭難事故や、土砂災害、さらには竜巻など、自然災害が絶えませんが、こういったニュースに対して「自然が牙を剥く」という言葉が添えられるたびに、多少の違和感を覚えるのは、そのためです。牙を剥いた、のではなく、5歳の女の子みたいに、何も考えずに、気ままに動くから、ときに、それが災害につながると思ってしまいます。ポニョからの連想で。*1
『ポニョ』では、一度、海面の上昇で、世界が沈んでしまいます。そのことについて、映画の中では特に描写はありませんが、「崖の上」の宗介の家が床ひたひたまで浸かってしまうのですから、いわゆるゼロメートル地帯なんかは、完全に水没してしまっていることになります。
人的被害も含めて「甚大な被害」が生じているはずですが、そのことをスルーしてしまっているのは、「物語」よりも「絵」を優先させている面があるのかな、と思います。エヴァンゲリオンもそうですが、「世界の水没」という設定は、魅力に満ちているのでしょう。最近、タイトルに惹かれて読んだ、この本も、地下鉄の代わりに(ネコバスならぬ)ウツボ電車が走り、ビルの中には沢山の熱帯魚、という、何となく静かでホッとする雰囲気の東京が描かれていました。
- 作者: さのてつじ
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1994/09
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ちなみに、星新一に「午後の恐竜」という作品があり、この漫画版をしばらく前に読みました。ある日、突如として町のいたるところに現れた恐竜の幻影が、時間を経るにつれ進化して・・・という話ですが、これには、ポニョの描く、道路の上を古代魚が泳ぐ世界と共通のものを感じました。「絵」だけでなく「牧歌的な終末」という意味でも共通しているように思います。
コミック星新一―ショートショート招待席 (秋田文庫 58-1)
- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 秋田書店
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*1:勿論、多くの方が被害に遭われており、そのこと自体はとても悲惨なことです。