Yondaful Days!

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温暖化の議論は、「地球資源の有限性」に行き着く

温暖化関連の頭の整理にメモ。
まずは、先週大きく動いた温暖化関連の記事を引用。

報告書は、大気や海の平均気温の上昇や雪氷の融解などの現象を根拠に「地球温暖化は疑う余地がない」と指摘。18世紀半ばの産業革命を境に、温暖化を起こす二酸化炭素(CO2)とメタンがそれぞれ1.4倍、2.5倍に急増したことを挙げ、「1750年以降の人間活動が温暖化の一因だと強く確信した」と分析した。
 温暖化による異常気象についても、「70年以降のハリケーンや熱帯サイクロンがより強力になっている点に表れている」と関連を認めた。

国連の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」が01年に公表した海面上昇の予測値は実測値より小さかったことを欧米豪の研究チームが明らかにし、2日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。経済界には「IPCCの予測は大げさで危機感をあおる」との批判があるが、むしろ過小評価だったといえる。

ということで、これまで、その見方に異論を示す学者もいたのだが、「人間活動(CO2排出量の増加)が地球温暖化の原因だ」とすることが、ほぼ「科学的に実証」されたようである。それどころか、一部の見方では、これまでの予測が「過小評価」だったというから暗鬱な気分になる。

この話題に対しては、以下のエントリが、はてブで人気となっている
はてなブックマーク - 地球温暖化のメディアバイアス―池田信夫 blog
一部、「やっぱり温暖化問題については(重要度は高くないのに)騒ぎすぎ」という主旨のコメントをされている方もいるが、報道の仕方に疑問を感じるばかりに、温暖化の議論が「非科学的」と言ってしまうのは気持ちが悪い。(なぜなら、そもそもが、世界規模の科学者が集まって、科学的なデータを下に議論をして、かなり確実性の高い結論が出ている、という記事なので・・・)
最近は飛ばし読みの安井至先生のページでのコメントはこの通り。

前回の報告書が2001年。この6年間で何が変わったのか。最大の変化は、論調。科学的に90%確実だと言える、と言い切ったことだろう。最初にIPCCの見解がでたとき(1990年)の慎重な言い回しから完全に変わった。
(略)
C先生:さて、この報告書がどんな影響を与えるか。日経によれば、米国の対応は、まだ慎重だそうだ。

A君:日本でも、これまで温暖化の科学性に懐疑的な態度をとってきた一部の科学者と経済界などはどんな反応をするのでしょうか。

B君:懐疑論も色々あって、ロンボルグの懐疑論は有名なのだが、彼の主張は、温暖化そのものに対する懐疑論というよりも、単に削減するという対応法に対する懐疑論だったと思う。

ここで言われているのは、たとえば、池田清彦『環境問題のウソ』。
実は、この本、しばらく前に、温暖化懐疑論についても納得しながら読み終えたの*1だが、よくよく思い出してみると、この本は、同じページでかなりボロボロに言われているので気になっていて手に取ったものであった。読んでみて、こちらも納得。あっちにフラフラ、こっちにフラフラして、情報に流されやすい自分の性格が恨めしい。納豆もたくさん食べた。

A君:(7)p51:「どう考えても地球温暖化なんて大した問題じゃない。大変だ大変だと騒いでお金が儲かる人ならばともかく、そうでない僕は、他人の金儲けを助けるために、快適な生活を犠牲にしたりよけいに税金をとられるのは勘弁してもらいたいと思う。そこまでお人好しの人は普通の日本語ではバカって言うんだよね」。

B君:大変正直でよいが、地球温暖化というものは、化石燃料を使い始めた人類が最終段階に出会う宿命的な影響であって、現在は、その化石燃料の枯渇も近そうだ、という段階にある。となると、化石燃料の枯渇を意識した化石燃料からの自発的な離脱を意識することが、個人的に快適な生活を継続するよりも重要になる時代が見え出したということで、これが環境問題の基本的理解であるべきだ。

結局、シンプルに考えれば、地球資源が有限である、ということ。そこからすべてをはじめる必要がある。
ちなみに、以下の、冗談のような温暖化対策のニュースにはちょっと驚いた。

宇宙空間に浮かべた鏡で太陽光線を反射するという温暖化対策の研究を今春に出される国連の報告書に盛り込むよう、米政府が提案する。英紙ガーディアンが伝えたもので、試算では太陽光線の1%も反射すれば産業革命以来出してきた温室効果ガスの効果を相殺するという。排出削減を柱にした京都議定書とは反対の、いかにも米国らしいプラス思考?

 軌道上に打ち上げた巨大な鏡で反射するほか、光を反射するホコリを大気中に放出するといった方法もあるという。

一見、「宇宙規模の現実逃避」に見えるが、可能性があるもので、地球資源を無駄に使わない取り組みであるのならば、少しでもいい方向に研究が進んでほしい。

*1:特に、先進国のみでのCO2排出量削減の無意味さを指摘した部分。