Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

中村一義『太陽』★★★★★

中村一義の4枚のアルバムの中で、一番メッセージ性が強く、完成度が高いのが、この2枚目『太陽』だと思う。
僕は、やはり1stシングル「犬と猫」にやられた口で、1枚目のアルバム『金字塔』収録曲「永遠なるもの」なども相当に好きだが、やや高い視点から世界を語る曲なので、これを聴いて、おせっかいだなあ・・・と思ってしまう人もいるはずだ。それに対して『太陽』は全体を通して、身近な視点で日常的なことが歌われている。それゆえに4枚の中で最も幸福感に溢れたアルバムになっており、歌の持つメッセージも普遍的だ。
春夏秋冬、朝から夜までを歌うモチーフの一貫性もいいし、一曲一曲が派手でないだけに、アルバム全体としての良さが際立つ。また、一枚目は、中村一義自身の一人の世界のことが歌われていたのに対して、本作では、早苗夫人との共作(歌詞)の曲もあるように、奥さんとの「二人の世界」が中心になっており、テーマ的にも一貫している。最近はあまりコンセプトアルバム(トータルアルバム)なんていう言葉は使わないのかもしれないけど、お手本みたいな作品。

僕が懐かしいという理由以外で、曲を聴いて自然に涙が出てしまうという経験をしたことがある(今でもたまにする)のは『太陽』とキャロル・キングの『つづれおり』の2枚だけ。とにかく僕の中で、非常に評価の高い一枚です。
まだ聴いたことがない人は、是非聴いてみてください。一度といわず何回も。声に抵抗がなければ、聴くにつれ、その楽曲の良さが次第にしみわたっていく素晴らしいアルバムです。


追記
オフィシャルHPのプロフィールを見ると、彼は早生まれだが自分と同学年であることが判明。もっと若いと思っていました。
好きな音楽家の中に、ゴフィン&キングも入っていました。実はキャロル・キングは『つづれおり』しか聴いたことがないので、『MUSIC』やほかの作品も聴いてみようと思います。