Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

100s『OZ』★★★★★+★

OZ
このアルバムは凄すぎるので、あまり書きたくない。「良いものは良い」とスネークマンショー?ばりに断言して終わってもいいのだが、一応、冷静になって、このアルバムのどこが特別なのか考えてみることにする
自分がアルバムを評価するとき、気にするのは、以下の点。

  • アルバム全体のバランス
    • 楽曲の配置*1
    • トータルアルバムとしてのメッセージ性*2
  • 楽曲
  • 歌詞
    • メッセージ性*5
    • 口ずさみたくなる歌詞*6
    • 普通の歌には出てこない歌詞・言葉遣い*7

と挙げてみたが、何というか、『OZ』は全部満点。つーか、全部120点。
中村一義の近3作は、『ERA』→『100s』→『OZ』ということになり、『ERA』は、長らく「心の第一位」を占めるほどの名盤だった。それに比べると、バンドを組み始めてからのアルバム『100s』は、音楽にも、歌詞にも、彼独特のアクが少なくなっており、バンドを組んだことが、僕の好みから外れる方向に向かっているのかも、と思った時期もあった。
しかし、『OZ』は『ERA』を越えて凄いアルバムだった。
音楽的なことは、知識に限界があるので、さらっと言って逃げるが、やりすぎない範囲で、僕の好きな「ごった煮」感がある。なので全然飽きない。ちなみに「ファーストにして、ベスト」という引き文句に全く偽りは無い。
歌詞について言えば、『ERA』は中村一義自身の思想がよく出たアルバムで、ミスチルの近作もそれに近いかもしれない。しかし、『OZ』は、もっと普遍的なことを歌う。普遍的なことを歌うと大抵つまらない歌詞になるのだが、中村一義が「考える人」だからだろうか?「目から鱗」の読書体験をしたときのような新鮮な驚きが詰まっている。中村一義の言葉でありながら、それを聴いている僕の言葉でもある、というような、万華鏡のような歌詞。これほどまでに「伝わる」音楽を聴いたことはなかった。それは、やはり、100sを始めるに当たっての本人の決意表明によく現れていると思う。

僕らの音楽は手紙です。受け取る人がいなければ成り立ちません。これは名義など関係なく、僕らが個々に持つアティチュ−ドの共通項です。音楽業界のセオリーには思いっきり反しますが、多かろうが少なかろうが、そんなのは二の次で、受け取ってくれる1人1人が重要です。
もっと言えば、僕にとって、今、あなたが生きていることが、なにより重要です。楽しそうじゃなかったとしても、不幸せだとしても、生きていれば、僕はそれで幸せです。
“100s”も、全てと共に生きて行きます。
中村一義

とにかく凄いアルバム。これを聴いて、僕も決意を新たに、いろいろなことに取り組もうと思っています。そういうパワーに溢れたアルバムです。

*1:飛ばさずに聴ける。「捨て曲」がない、ということ。

*2:そこまでコンセプチュアルに完成しているアルバム自体、少ないと思うが、ポジティブなメッセージが伝わるものなら◎。ちなみに、bridgeのインタビューで、中村一義は、このアルバムをスティービー・ワンダーの『KEY OF LIFE』に喩えている。それだけで凄い。

*3:自分は、変わったことをしているアルバムを評価する傾向がある。ビートルズなら『revolver』。オリジナルラヴなら『L』。

*4:どんなに名盤と言われても、難解なものはダメ。

*5:Mr.Children「タガタメ」は、あのメッセージを伝えようという意志だけで◎。

*6:岡村靖幸「どんなことをして欲しいの僕に」from『靖幸』の出だし「階は7025見知らぬ留守録」は全然意味がわからないが、ついくちずさみたくなる

*7:スガシカオ「サナギ」from『TIME』の「家畜に名前がないように」、キリンジ「ハピネス」from『for beautiful human life』の「笑わせるなっつーの」にはしびれる。