Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

谷崎潤一郎『痴人の愛』★★★☆

痴人の愛 (新潮文庫)
物語の途中で関東大震災の話が挿まれるなど、大正時代の話。しかし古さは全く感じない。どころか、読むのを中断できないほど面白すぎる。
ただ、こうもスルスル読めるのは、文体だけでなく、ナオミの圧倒的なキャラクターゆえだろう。読みながらも、どんどんナオミに屈服していく主人公 河合譲治に対して、そんな女はやめておけ、真面目に暮らせ、と何度エールを送ったことか。
いやあ、本当に内の奥さんがナオミじゃなくてよかったよ。実際には自分が譲治のように奴隷的な扱いを受けてまで、ナオミの元にいるとは思えない。けれども、譲治も元はといえば、30前後の堅物サラリーマンだったことを考えると、やはり実際に会えば、身を滅ぼしかねないほどの魅力を持った女性なのだろう。また、80年前は斬新だったかもしれない、ナオミのような「魔性の女」のイメージは、いろいろなモチーフに使われている*1ことを見ると、思っている以上に「溺れている」人が多いのかもしれない。
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そういえば、最近とんと映画は見ず、彼女はトム・クルーズと結婚したと思い込んでいたペネロペ・クルスには「ペネロペの呪い」なるものがあるそうですね。*2彼女なんか、まさにナオミのイメージにぴったりです。はてなダイアリーキーワードの解説見ると、自分と同い年。『バニラ・スカイ』のときは27歳ということで、結構童顔なのでしょうか。

*1:伊藤潤二の代表作『富江』は、まさにナオミのことだ。

*2:ペネロペ・クルスと共演すると、夫婦関係や恋人関係が崩壊する。例:マット・デイモンニコラス・ケイジトム・クルーズ