Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

中山昌亮『不安の種(1)』★★

不安の種 (1) (ACW champion)
最近、エキサイトブックスの記事を参考に本を買うことが結構多い。
先日、毎週水曜日発行の「マンガばかり読んでるとバカになる」で、このホラーマンガが紹介されており、興味を持った。

実話に寄り添う姿勢は、海外のホラーにはみられない、日本の怪談文化の特色となっていて、木原浩勝と中山市朗による『新耳袋』シリーズに代表される実話怪談というジャンルとして現代に生き残っています。

冒頭で、このように紹介されている。実は『新耳袋』は読んだことがなかったが、興味はあったし、amazonでの評価も上々、何より自分が根っからのホラーマンガファンだったので、早速会社帰りに買ってみた。
しかし、帰りの電車でほぼ読み終えた感想は「何が面白いのかわからない」。
 
さきほどのエキサイトブックスの記事の続きを引用すると・・・

なぜ、実話怪談は怖ろしいのでしょうか。
怪異の正体や理由を解明して読者を納得させる必要がない実話怪談は、勧善懲悪、因果応報など、物語の理からもはずれているケースが多く、きちんとしたオチがつかないままに終わることもざらです。

つまり、それが問題。オチがない。
僕の好きなホラー二大巨頭、楳図かずお伊藤潤二も、基本的に「驚かせる」ことを重視するタイプ。そもそも僕の趣味に合わなかったのだろう。
さらに、付け加えるならば、絵柄もダメ。ゆうきまさみを思わせるさっぱりした線は、あまりホラーには向かないのではないだろうか?amazonでは、「いちど目にしたら忘れられなくなる異形のデザインも秀逸」と持ち上げられているが、それほどのものか?
「異形のデザイン」については、前述の二人以外では、例えば(昔、数冊しか読んだことがないが)御茶漬海苔とかも良いと思う。勿論『寄生獣』なんていう凄いのもある。
また、こういうジャンルが支持されているという風潮もよくわからない。10年くらい前になるのか、世にも奇妙な物語笑ゥせぇるすまんY氏の隣人、ハッピーピープルなどの、奇妙の物語〜SF系のアイデアものが流行した時期があったが、どれも作者の独自性が発揮されたもので面白かったし、そこには確かに「怖さ」があった。
こういった「実話怪談」では、それこそ「非独自性」「無名性」が売りなのか、迫ってくるものが全くない。
と、ここまで書いて、伊藤潤二が、新耳袋のネタをマンガにした『ミミの怪談』ISBN:4840104840たのを思いだした。本家「新耳袋」の木原浩勝・中山市朗原作のマンガだが、こちらは、やや薄められつつも伊藤潤二の独自性が存分に発揮されている。「異形のデザイン」というのなら、こちらを見ろ!と言いたい。
エキサイトブックスの特集執筆者の方も、コミックの帯で絶賛を贈る岩井志麻子も、もしかしたらあまりホラーコミックを読まない人なのかなあ、と思ってしまった。