Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

メーテルリンク『青い鳥』★★★★

青い鳥 (新潮文庫)
先週の日曜日、陽太と散歩に出かけたら、近くの川岸で「青い鳥」を見つけた。お腹がオレンジ色だったので、素人の僕にも、その鳥がカワセミだということがわかった。
そのとき、ふとメーテルリンクの「青い鳥」は、なんという種類の鳥なのだろう?そもそも、「青い鳥=幸せ」なのは何故?という疑問が生まれ*1、家に帰って妻に質問。
幼い頃に読んだ『青い鳥』のストーリーについて「帽子の正面についているダイヤを回して別の世界に行く」と説明をしていると、それは「ポールのミラクル大作戦だ」とか何とか文句を言われた。そんなことはないだろうと思いつつも、「ダイヤを回す」というのは「ダイヤルを回す」との記述をずっと勘違いして覚えていたのではないか、と別の種類の不安が頭をもたげてきた。
ということで、いろいろな疑問を持って、新潮文庫『青い鳥』を読んだ。訳者は堀口大学
読むと、ストーリー自体は自分が覚えていたものと大方変わらなかったが、当時読んだ子供向けにアレンジされていた話に比べ、当然細かい内容が書かれており、これが結構面白い。
戯曲形式で書かれており、冒頭では衣装の説明までついているが、まず、100以上の名前が並ぶ登場人物欄が面白い。
「チルチル、ミチル、かあさんチル、とうさんチル」など、人間のキャラクター数名以外に、「イヌ、ネコ・・・」とここら辺まではまだわかるが、「パン、水、砂糖、牛乳」という料理本と見まがうばかりの言葉にまず驚き、「光、夜、眠り、死、鼻かぜ」という登場人物としては異例の人たちに、何だこれはと衝撃を受ける。さらには「ふとりかえった幸福たち」の一味として

  • お金持ちである幸福
  • 地所持ちである幸福
  • 虚栄に満ち足りた幸福
  • かわかないのに飲む幸福

などの、あまり幸せでなさそうな「幸福たち」がずらりと名前をそろえる。この時点で、物語自体が、完全に子供向けに書かれたものではないことを知った。
ここまで読んで面白そうと感じた人は362円を持って本屋に行った方がいいです。図書館にもきっとあります。

*1:と同時に、「しめしめ、オリジナルラヴの「青い鳥」に絡めてブログに書こう」という、ネタ探しの浅ましい気持ちが生まれた。