Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

『東京 飛行』を語る(3)〜遊びたがり

東京 飛行

東京 飛行

次に取り上げるのは、実質的にアルバムの最後を飾る「遊びたがり」。
『東京 飛行』の中で、特に好きな4曲のうちの一曲。(うち一曲は、先日書いた「13号室からの眺め」)
一番の歌詞では、「遊びが分からないつまんねえ奴」から相談を受けるのだが、これは、『街男 街女』の「ひとりぼっちのアイツ」を想起させるシチュエーション。「ひとりぼっちの〜」では、いいひとをみつけられない男が、ひとりでバー・カウンターにやってきて「Heyマスター!」と酒を呷る(あおる)話になっている。
「遊びたがり」では、「いいひと」を見つけて、がらりと変わった二人の人間が描かれ、そのあと、次のように歌われる。

なんていうか きみに逢って変わった
ああ素敵だった きみのおかげさみんな

そう、自分も変わった!という歌だ。*1
そこがいい。
展開的にオチが付くという点はポイントだが、そこで自分が語られるという部分は非常に大きい。
歌の持つ意味、というか、繰り返し書くが「説得力」の部分が全く異なってくる。
心に響く歌になってくる。

田島さん「っていうか、そのスープ皿とお碗に乗せてやったって抽象的じゃない? 具体的にどういうことなのかはイマイチわかりづらいですね」
渋谷「だから、要するに、今回の『東京 飛行』というのは、いわゆるみんながイメージする、ポップでお洒落なオリジナル・ラヴサウンド、メロディもそうだし、それから歌詞の世界も全然違うよね?」
田島さん「『街男 街女』と?」
渋谷「そう」
田島さん「ええーっ…」
渋谷「ほら、やっぱりそうだ」
田島さん「はははは!」
渋谷「俺はねえ、そうだと思っていたんだよ」

渋谷陽一の番組での、田島・渋谷の『街男 街女』と『東京 飛行』に対する理解の違いは面白いが、自分としては、ここで「自分」を出している点が、兄『街男 街女』と大きく異なるポイントだと思うのだが、それはまた今度掘り下げる。(と思う)
(と、また続く)

*1:布施明の『君は薔薇より美しい』を思い出しますが、あれは「君は変わった」という歌でしたね。