Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

詩は人生ではない。

田島貴男が「詩」について語った日記が興味深かった。

「詩」というものは、理屈から離れた場所にある、という内容で、ちょうど、先日のつっかえ棒の話とリンクする。
つまり、世の中には、理屈で積み重ねていくものと、空から降ってくるものと、両方の面白さがあって、田島貴男の歌詞世界は、その両方からつくられているということか。

詩は誰かの作り話ではない。
詩は幻や夢ではない。
詩は愛ではない。
詩は人生ではない。

という言葉で日記は終わるが、「作り話」で思い出すのは、やはりアルバム『街男 街女』。「夢や幻」「愛」「人生」を現実世界の出来事や思い出にリンクさせながら歌うのが、ごく一般的な歌だとすれば、「赤い街の入り口」「或る逃避行」の2曲は、この歌のための物語*1が別にある*2ような内容で、とても「作り話」的だ。(故に非常にとっつきづらい)

  • つっかえ棒から離れたところで「詩」のようにして生まれた「夜の宙返り」
  • 理屈を重ねてつくられた「鍵、イリュージョン」
  • 架空の物語世界をの上につくられた「赤い街の入り口」「或る逃避行」

『街男 街女』の幕が上がり、最初にかかる「築地オーライ」が田島貴男の描く「街」のコンセプトについて分かりやすいイメージを出しながら、全体としては拡散した感じがしてしまうのは、歌詞のつくられ方が極端に異なる曲が並んでいるからだろうと思う。
かなりデコボコしているが、いろいろなものに興味があり過ぎる田島貴男という人物が一番よく表れたアルバムなのかもしれない。

街男 街女

街男 街女

*1:ツイートで情報をもらいましたが、「赤い街の入り口」は、横尾忠則「赤い街」が土台となっているようです。「Y字路」のシリーズということで、歌詞の内容にも完全に合致します。http://www.1101.com/yokoo_tamori/y_joro.html→ほぼ日のコーナーで紹介されています。関連内容はパラパラ見ただけですが、「Y字路」というモチーフは凄く力を持っていますね。

*2:あと、インタビューでは、「赤い街の入り口」のヒントになった本として、夏目漱石「それから」を挙げているのですね。自分のブログを読み返して気づきました。http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20050226/sore