- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/07/23
- メディア: コミック
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“アレキサンダー大王の書記官になる男”エウメネスの物語。
話は、この巻でひと段落して、1巻の冒頭、アリストテレスとカルディアに向かうシーンに戻ることになる。
前後のつながりもあるので、全巻を読み返したが、主人公の能力が際立っている話は、余計な心配をしなくていいので、読んでいて実にいい気分。4巻では(嫌な)敵将ダイマコスが、「どうせ知るまいが・・・」と呟きながら詩の一節を吟じるシーンで、「知ってるよ、『イリアス』だろ。」と、パフラゴニアの村人に突っ込まれるシーンなんか、気がせいせいする。(エウメネスが、村人にギリシアの神話から、地理、歴史に至るまでを語って聞かせていたのだ。)
エウメネスは自らが村人たちに「語る」意味を以下のように説く。
端から吸収していく村人たちに対し、蓄えを提供する一方の私に得るものが無いかというと決してそうではない
書物から得た知識の多くが ほったらかしにしておけばいつまでも「他人」なのだが
第三者にわかりやすく紹介してみせる事で
初めて「身内」になってゆく(3巻P161)
いやあ、ビジネス書の一節みたい。
こんな文章が、物語の中で浮かずに出てくるあたりは、本当にうまい。
奴隷トラクスの叛乱が衝撃的な2巻に比べると3、4巻は淡々としているが、(盛り上げすぎない)物語のテンションの作り方も上手いと思う。
願わくば、あともう少しだけ早いペースで新刊を読みたいところだが・・・。