- 作者: 大山顕
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2007/12/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大山顕さんの本を最初に読むのは、団地関連だろう、と思っていたのだが、ひょんなことから興味の無かった、この本を読むことに。
正直言って、自分は高速道路は苦手で、まず、インターチェンジだとかジャンクションだとか、はたまたパーキングエリアだとかサービスエリアだとか、その言葉自体、かなりの年齢になるまでしっかり理解をしていなかった。
特に、高速道路が交差する部分を指すジャンクションなるものは、運転する側からすると恐怖でしかない。間違った方向に行ってしまうと、取り返しがつかない。それこそ、時々発生する高速道路の逆走による交通事故も、(行き間違いをカバーしようとしたものであれば)少しだけその気持ちが分かる気がする。だから、ジャンクションの多い首都高は、本当に乗りたくない。
ただ、自分が車を運転せず外側から見ることを考えた場合、ジャンクションというのは、それほど恐れるべきものではないのではないか。そう気が付いて、この本を読んでみた。
読んでみると、自分の好きな鉄塔や団地ほどではないが、ジャンクションも見どころがたくさんあることがわかった。周囲の風景と合わせて鑑賞するというあたりは、鉄塔とも似ている。
ただ、特に首都高の場合には、夜景でこそジャンクションの魅力が最大限に発揮される、ということが写真集を見ると伝わってくる。まずは、夜の下側から見上げるジャンクションを鑑賞しにいかねば…そう思った。
勿論、大山顕さんの熱意溢れすぎるコメントも面白い。
特に巻末のジャンクションめぐりモデルコース3つが良い。1つ目の「両国〜箱崎〜江戸橋」は、自分にとっては行きやすい場所にあるので、すぐにでも回ってみたいが、3つ目の大黒ジャンクションを巡るコース紹介が最高だ。タイトルは「あの人をジャンクション好きにしてしまおう!」で「デートに使えるジャンクション」を妄想する(笑)。
時系列の見出しだけ書き出すとこんな感じ。
- PM3:00 無難な出だし・スカイウォーク
- PM3:30 さりげなくジャンクションアピール
- PM4:00 ブリッジを見るふりしてジャンクション鑑賞
- PM4:10 ぐっとこらえて気分を盛り上げよう
- PM5:10 帰りの道路もおろそかにはできない
- PM6:30 2人の愛を大黒ジャンクションに誓う
というように、デートでは、ジャンクションをチラ見せして、チャンスがあれば情報を小出しにしながらグッと我慢し、6:30になってやっと大黒ジャンクションを正面から見て、色んな愛を爆発させる作戦になっている。最後の一行は「夕日に染まるジャンクションに愛を誓いつつ、次回からのデートはジャンクション三昧だ」。
狂気を感じるもちょっとチャレンジしてみたいコース。
ただ、ジャンクションは、ダムや鉄塔などと比べると、少し敷居が高いのではないか、という感じもした。特に、「見た目で分類していく快感」が得られにくい、という点は大きい。
この本でも、最初にジャンクションをその形状から7タイプに分類しているが、同時にこうも書いている。
ジャンクションは、上空から見たその形でいくつかのタイプ(トポロジー=位相)に分類することができる。本書が勧める「下から見上げる鑑賞法」で見る限り、各タイプごとの差異はあまり感じられないため、一見この分類方法には意味がないように思われるかもしれない。
「その道」に触れる最初の一歩として「分類」にはとても大きな意味があるが、ミーハーな自分のような人間には、「見た目」分類が魅力的だったら、もっと入りやすかった。例えば重力式コンクリートダム、アーチ式コンクリートダムとフィルダムとかは、見てすぐにわかる。もう少し、男型鉄塔と女型鉄塔みたいな、本当に見た目のみで分類していく大胆さがあった方が良かったかもしれない。
しっかり鑑賞したいジャンクションとビューポイント
下から見上げた箱崎ジャンクションのことをヤマタノオロチに例えているのが印象的でした。
次こそは団地本を読みたい。
- 作者: 大山顕
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2008/03/28
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- 作者: 大山顕,佐藤大,速水健朗
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2012/01/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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