Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

鎌田浩毅『火山はすごい』★★★★

浅間山噴火のニュースの中、非常にタイムリーな読書感想となりました。
火山はすごい―日本列島の自然学 (PHP新書)
タイトルで既に勝利している本。
しかし、タイトルに負けず、内容も抜群。「火山入門本」として作者が意図した役目は十分に果たしている。鎌田浩毅氏は、素人に、自分の研究の面白さをわかってもらい、緊急時に適切な行動が取れるように、火山の基本的な知識を身につけてもらおうとこの本を書いた。その意図は本全体から読み手に伝わる。火山に興味が無かったとしても、その「情熱」に触れることができるという一点だけでも、この本を読む価値がある。
99頁でも触れているように、科学教育や研究者育成のためには、このような啓発書・教科書が必要だが、日本の大学教員は忙しすぎて、本を書く余裕が無いという。これに対してアメリカではサバティカルと言われる一年間!の有給休暇の制度がある。時間だけで解決できる問題ではないと思うが、研究者の執筆活動を支援するような制度は必要かもしれない。科学が専門化を極めていく中で、こういった啓発書はたくさんあるに越したことはない。
同様の意図で書かれた啓発本として、本文中で紹介されている池内了天文学者の虫眼鏡』+238〜239頁に紹介されている本については、折角良い機会なので、読んでみたい。
 
興味が沸いた人は、店頭で「科学と文章」についてと火山への熱い思いを語ったエピローグの部分だけでも読んでみてください。本当に熱いです。

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ところで、僕は小学生のときに福岡に住んでいた関係で、九州地方については、親にいろいろなところに連れて行ってもらった。カルデラで有名な阿蘇山にも行った。しかし、実際に阿蘇に行くと、自分が足を乗せている場所自体がカルデラなので、実感が沸かない。
そんなこんなで、僕は「カルデラ→軽寺」という語感のイメージから、そのとき目の前にあった、開けた場所にあった、屋根のついた簡単な休憩所のことを「カルデラ」と思いこんでいました。その後、中学生になって間違いに気づいたのですが、どうしてもそのイメージだけは今も拭い取れないのです。

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5万分の1の地質図をつくるのに一研究者が、コツコツ歩いて、10年も20年もかけているという事実には驚き。仕事で地質図を使用する機会もあるので、これからはもっと有り難みを感じつつ地質図とつきあおうと思います。