本編中でも何度も書かれているように、今後日本において増税は不可避で、その中心に消費税率引き上げがある、というもの。「不可避」であるので、タイトルも敢えて「どうすべきか」ではなく「どうなるか」としているというが、反論のしようがないので、暗くなる。
内容は、教科書的・新聞的で、表現はわかりやすいが、細かい部分になると、馴染みがないせいか頭に入ってこない。所得税よりも消費税に関する部分の方がわかりやすかったのも単に馴染みの問題だろう。
細かいところは何か気になる部分が出てきたときに読み返すにはいいかもしれない。特に年金関連の問題は、最終章の消費税の説明が参考になるはずだ。
なお、サラリーマンが他と比較して、税制上優遇されている面として「給与所得控除」があり、自営業者から、逆に不満が上がることもあるというのは全く知らなかった。今度給与明細をチェックしてみよう。
以下はメモです。
今回初めて知った言葉
- クロヨン問題(P127)
- 税率のフラット化と所得ブラケット(P128)
- 益税問題(P157)
興味の持てる視点と、それに対する回答
- 日本人の「実際の税負担」は諸外国と比べて低いのに「重税感」が強い3つの理由(P126)
- 消費税増税の難点である、税負担の逆進性(貧乏なほど重税)を緩和する為の4つの手段(P169)
- 消費税の福祉目的税化に反対する3つの理由(P171)
なお、石弘光氏は、環境問題の研究者である石弘之氏の兄であるという。河合隼雄、河合雅雄以外にも、こういう有名な兄弟っているものですね。