Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

オレンジレンジの電子レンジアレンジ*1

僕自身、渋谷系の洗礼を受けて以降、パクリの話題には目がありません。*1しかし、オレンジレンジは、街で流れている程度にしか耳にしたことはなかったし、ルックスから来る「ついていけ無さ」から「CDを借りたら負け」と思っていたので、パクリの話題が持ち上がっても、気に留めませんでした。
しかし、こんなまとめサイトがあることを知り、しかも音源付きなので、早速聴いてみることにしました。
http://www.geocities.jp/tsubusu00/pakuri.html
ボンジョビ、クイーンといったわかりやすい洋楽、くるりアジカンなど日本のロックから、ドクターマリオファミコンウォーズなどのゲーム、はたまたドリフまで。ここまで節操がない*2と見事。というか、ここのサイトで、まとめのmp3つくった人、凄すぎです。ドクターマリオには爆笑。
ところで、ここまでは楽しんで聴けますが、いろいろな人を怒らせているのは、彼らの音楽への姿勢です。話題になったbounceのインタビュー記事を引用しておきます。

たとえばこのメンバーの中に、本物の、めちゃくちゃロックが好きな人はいないんですよ。〈ロックに詳しいぜ〉とか、〈ファンクに詳しいぜ〉とか、そういう人は1人もいないから、自然にそうなってます。もともと音楽はあとからついてきたバンドだから、みんな手探りで、〈じゃあ、これとこれとこれを足そう〉とかやってる。とりあえず全部に触れておいて、参考にできるものは全部参考にしようと。オレたちの中の合言葉は〈パクろうぜ!〉です(笑)。まずはカヴァーするんですよ。で、ここをわかんないようにしようとか、ここ使ったらバレるだろ、とか話し合う(笑)」

これを載せるバウンス編集部もどうかと思いますが、呆れて物も言えません。
ちょっと不安になるのは、あびる優の事件と一緒で、こういうことを言っても引け目どころか罪悪感を覚えない人たち(天然?)が増えてきているのだろうということです。僕の周りにはいなかったタイプです。だからと言って世代のせいにするわけではありませんが、大集団を避け、常に少人数の仲良し集団で行動する人達が増えていると聞くので、若い人にこそそういう人が多いという感覚は、あながち間違いではないと思います。
少し話がずれますが、個人的に2004年で最も心に残った発言というのがあります。その場面を説明させてください。
会社の仲間で食事に行ったときのことでした。後輩が、浦沢直樹『MONSTER』を貸す貸さないという話をしていたので、未読の僕も割り込んで「貸してよ」というようなことを言っていました。それを横で聞いていた陽気な新入社員A君(22)に、こう話しかけられました。

A君:「Rさん(僕)、マンガなんて読むんですか?」
僕 :(そうだよな、30にもなってマンガ読むのはちょっと恥ずかしいかもと引け目を感じながら)「まあ、子どもの時から読んでた癖で、ついつい読んじゃうんだよ」
A君:「え〜。マンガ読むのめんどくさくないっすか?
僕 :(絶句)
A君:「誰かが読み聞かせてくれるんならいいですけど、めんどくさいからほとんど読まないっすね。」

ショック過ぎます。
同世代で本を読まない人はたくさんいるので、それは全く気になりませんが、「面倒」という理由でマンガを読まない人に出会ったのは初めてだったので、衝撃的でした。
ただ、少し経ってから考えてみると、本当にショックなのは、A君本人より、周囲の人達が、A君の「天然」を放置したままにしておけた、という事実です。
僕は30歳で第二次ベビーブーマーということになりますが、僕の中学高校時代を考えると、昨日見たテレビ番組、今週号のジャンプ、発売されたばかりのゲームなど、ある程度「多数派」の話題があり、それに入れないと疎外感を味わったりもしたものです。まあ、「同調圧力」というと言い方が悪いかもしれませんが、それなりに意識の共有があり、道徳感覚などもその中で育った部分があります。A君*3は、ただ「マンガを読む習慣がない」というだけですが、あびる優のやオレンジレンジの感性は、僕らの世代の中では、大人になるまでに淘汰されて生き残ることができなかったでしょう。少なくとも人前では、そのことについて発言することを躊躇するような感性が育っていたはずです。「今の若い人は」と括るつもりはありませんが、あびる優の背後には、拉致ってもOK、援交全然問題ない(むしろ古い)とか考えている人達が多数いるのではないかと不安になります。
まあ、何かにつけ不安になるのが、僕の性格なので。
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オレンジレンジまとめサイトに関する情報は、以下のはてなダイアリー経由で得た情報を参考にしました。
http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/20050227#1109446684
http://d.hatena.ne.jp/assa/20050227
前者は、物書きの栗原裕一郎さんの頁。後者は、パクリ論文(未読)で有名なasさんの頁です。

*1:僕の立場は、今回のような悪質な場合を除き、「容認派」です。岡村ちゃん等のパクリで有名な新堂敦士が悪質かどうかは、聴いて判断したいところ。

*2:有名曲が多い、サビが多い、脈絡がない。

*3:A君自身は、性格も良く、明るい人で、当然、道徳的にも問題ありません。念のため。