実は、諸星大二郎の短編は、まとめて読んだ時期があって、知っているものも多かったが、この独特の雰囲気は、やっぱりよい。1976〜1995年までのジャンルもバラバラの12編が収められているが、特に好きなのは「六福神」の話。
一般的に知られる七福神は、以下のような理由で、七人目が定まっていない。
(しちふくじん)とは、福をもたらすとして日本で信仰されている七柱の神である。
一般には恵比寿、大黒天、毘沙門天、寿老人、福禄寿、弁財天、布袋の七柱の神とされる。但し、寿老人と福禄寿はともに南極老人の化身とされることから、この二者は本来同一のものとみなし、寿老人の代わりに吉祥天や猩猩が入れられたことがあった。これは関西から始まったもの。誰がいつこの顔ぶれに、と定めたのかは不明。時代によってこの顔ぶれに異同がある。猩猩、稲荷が外れたのは、人間の姿ではなかったためとも言われる。
この7人目を除いた六福神たちが、最後の一人を探して・・・・・・という話なのだが、この六福神たちが、いかにも諸星大二郎という「異形の者」で描かれているのがたまらない。7人目の候補だった「福助五郎」は、仙台人には有名な仙台四郎と似ているので、おそらくモデルにしたのではないだろうか?
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まだ、映画「奇談」の原作である『生命の木』は、なかなか迫力のある話だが、一体これがどのように映像化されたのかには興味がある。東北の隠れキリシタンの村の中で、長い時間をかけて独自の発達を遂げたる「教え」の話だが、話の筋*1も含めて、映像化が難しいと考えられるところは多い。ところで、映画HP*2の解説を読むと、エヴァンゲリオンも、この作品の影響を受けているとのこと。初耳。
さらに、プレイステーション2のゲームで、怖いCMで有名になり、今年2月に映画も公開される『SIREN』にも、この『生命の木』の影響が見られるという。ところで『SIREN』自体は、伊藤潤二「サイレンの村」に強く影響を受けているようであり、興味あり。
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あとは、子供というのはそもそも大人とは違う生き物なのでは・・・という結論に辿り着く「子供の遊び」。諸星大二郎の描く絵だからこそ、この話に説得力が出るのだと思う。