Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

小畑健・大場つぐみ『DEATH NOTE』★★★★(現在、9巻途中)

DEATH NOTE デスノート(1) (ジャンプ・コミックス)
映画も公開になり、メディアでも頻繁に取り上げられるようになってきて、焦りを感じ*1、遅まきながら読み始めた。(現在9巻途中)
確かにこれは面白い。
自分の知っている漫画で言うと、下に挙げるような、メジャー感のある漫画のいいとこ取りによって、漫画の王道を行く作品になっている。

  • ウイングマン(ノートが物語の中心にある)
  • 寄生獣うしおととら(本来、人間とは敵対関係にあるはずの「異物」が、主人公と共生する)
  • AKIRA(兵器的な「力」を巡って国を巻き込んだ争いが生じる/天才的な子ども)
  • BANANA FISH(子どもが主体となる抗争/主人公の天才性)

その上で、「デスノート」独自の細かいルール設定と緻密な心理戦が、大人の鑑賞にも十分耐える少年漫画にしている。というか、文字が多くて、小学校低学年では読めないのでは?
上に挙げた中でも類似点が多いように感じる『BANANA FISH』だが、あの漫画の中で、英二という主人公のいる意味は大きい。天才同士の戦いが続けば、最終的に読者が置いてけぼりになる。凡人である英二がいたからこそ、物語は地に足のついた展開になったのだ。
デスノート』では、途中まで、英二にあたる人間はいない。だから、読者は、冷酷無比な夜神月の「良心」をどうしても信じたくなる。それが無ければ、辛すぎる物語だからだ。しかし巻が進むにつれ、少しずつ松田が、「英二」的なキャラクターに育ってきた感がある。まだまだ力不足だが、物語の完結には、おそらく彼のような「凡人」の存在が必要なはずだ。ここからの展開が楽しみ。
 
ところで、映画の方は、キャストが原作に「そっくり」という話を聞いていたので、もしかしてリューク(主人公に憑いた死神)は布袋寅泰か?と思ったらフルCGということでがっかり。
ここ数年映画を見ていないにもかかわらず、ときどき見る映画批評サイトによれば

映画化にあたって冒頭のストーリーは変更されているが、これも問題はあるまい。むしろ、出だしの9分半の緊迫感はなかなかのもので、短い時間にこの世界のルールの多くを上手に説明しており、感心した。オールCGによる死神リュークの見た目も違和感がなく、これはかなりイケるぞと、大いに期待は高まった。

しかし、この映画の美点はそこまでだった。映画版『DEATH NOTE デスノート 前編』は、徐々にほころびを見せ始め、終わってみれば結局、ダメ映画の仲間入り、である。

なぜダメなのか。その一番の原因として、キャラクターをまるで描けていない点があげられる。この監督(金子修介)は、『デスノート』の魅力を十分理解できぬまま、実写化を行った可能性すらあるのではいかと感じさせる。

とのこと。
ただ、原作を知らない人には難有りとのことだが、知っていれば、それなりに面白く見られる、ということのようにも読める。
映画もちょっと気になる。

*1:あまりにメジャーになると、安易なネタバレが横行するのでは、という恐怖感がある。