Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

楳図かずお『漂流教室』

漂流教室 (1) (小学館文庫)

漂流教室 (1) (小学館文庫)

連載が終わったのが自分の生まれた1974年の作品ということで、センスは古いが、メッセージは今にも通じるものがあり、10年ぷりくらいに読むが、やっぱり感動した。
800人程度の小学生(+数人の大人)の中に、現代社会のゆがみが反映された話で、モチーフは『蝿の王』や『十五少年漂流記』と比較されることが多いのだろうが、楳図かずおの(現代社会に対する)危機感が強烈であるだけに、読後感は本の中だけにとどまらず、自分が生きる社会へ思いが至る。そういう意味では暗い作品であることは間違いないのだが、主人公(高松翔)のキャラクターと、物語の結末のみで、救われている。
ひとつひとつのプロットは陳腐だったりするけれども、全体を読み終えれば、人生の全てが漂流教室にはある、といっても大げさではないほどの傑作。
感動する台詞も多数あったが、ネタバレになるので省略する。
(そもそも本が手元に無い。)