Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

NHK-BS「金メダルへのイメージトレーニング〜ロス五輪体操 具志堅幸司〜」に感動した

日曜日、鉄腕DASHを見なくちゃ、と思い、テレビを点けたが、プロ野球中継のために中止。やむなくチャンネルを回して途中から入り、引き込まれた。(再放送だったようだが・・・)

1984年---ロス五輪。具志堅幸司選手が日本男子体操界3人目の個人総合金メダルに輝いた。
 かつて具志堅は、大事な大会でミスをして「勝っていながら、最後に逆転される」というパターンから抜け出せない時期があった。そのため「先行の具志堅」とも呼ばれた。それが自分の「心の弱さ」のためだと気がつき、大学入学とともに、面識もない心理学の教授を訪ねて、精神鍛錬方法を学んだ。
 日本ではまだイメージトレーニングという言葉さえなかった時代、極度のプレッシャーの中で最高の演技ができる集中力を得るために、具志堅は独自に心理学を学び続け、そしてロス五輪で見事金メダルに輝いた。
 番組では、独自に学んだ心理学をメンタルトレーニングにつなげ、金メダルを獲得した具志堅の勝利の一瞬に迫る。

イメージトレーニングの重要性を、これでもか、と見せつけられる番組だった。解説は斎藤孝
印象に残ったエピソードは以下の通り。話の端々で、イメージトレーニングだけではなく、心・技・体、全ての面での努力が必要ということが、強調されていた。

  • アキレス腱断裂で3ヶ月の入院生活の中でイメージトレーニング(心)と上半身のトレーニング(体)をくり返し、退院直後の練習で、入院前にはできなかった技を演じてみせた、という話。
  • 恩師に勧められ、細川たかしや、能を見て、そこから体操に結びつけるものを発見し、昇華させた話。(前者からは、観客をひきつけるための「間とタメ」の重要さを学び、十字懸垂などの技につなげた。後者からは、勝ち負けでなく、神に奉納するような演技という達観を得た。)

特に驚いたのは、金メダルを取ったロス五輪のエピソード。
団体3位に終わり、個人選を残した2日目の会場へのバスの中で、具志堅は入念なイメージトレーニングを行う。このとき、具志堅の頭には、演技が成功したあとの点数、そして、その後日の丸が真ん中(金メダルの位置)に掲げられるイメージが浮かび、これに感激して涙を流してしまう、というのだ。
成功イメージの持ち方として、感情再現までを行うことが重要、との指摘は、香山リカの『貧乏クジ世代』でもでてきたが、こうも明確な実例を見せ付けられると、本当に驚く。
結果的に、具志堅は、イメージトレーニングで頭に浮かんだとおりの結果、つまり金メダルを獲る。
技を確かなものにするためにメンタルな部分が重要ということだけでなく、イメージトレーニングで浮かぶ像を明確にするために、体と技を鍛えていく、という相互補完的なものなのだろうなあと認識した。
自分も、いろいろな場面で、心・技・体の鍛錬が必要になると感じた。
ちなみに、心・技・体が最高の状態で演技を行うために、具志堅さんが唱えていた呪文は「ハルチ ウムチ ツヅチ」。昔からあるまじないの言葉らしい。