新井満「啄木、100年目の帰郷」(36面・文化)
石川啄木の大ファンである新井満は、帰郷の夢かなわず、26歳で生涯を終えた石川啄木の「魂」を故郷に帰してあげたい、と考えた。新井は、そのために、望郷を歌った短歌にメロディーを付けて楽曲にし、かつて啄木が教鞭をとった場所にある旧校舎で、啄木自身が演奏に使っていたオルガンの伴奏をつけて小学生に歌ってもらった。
その途中、新井も、小学生も、啄木の「霊」が近くに来ていることを感じた。
石川啄木が故郷を離れた明治40年からちょうど100年目の春のことだった。
・・・といういい話なのだが、最近、『石川くん』で、石川啄木の別の側面も見ている自分としては、単純に感動するのとは別の気持ちもあり、面白い。
石川啄木は、結構、興味の尽きない、面白そうな人だ。
氷が消える?北極海に異変/エルニーニョで温水の流れ変化
北極海で氷が減っている。IPCCでも今世紀広範囲は氷がなくなる可能性が指摘されている。
これは以下のように温暖化にも関係している。
- 原因のひとつは1997-1998のエルニーニョで温度の高い海水が入り込んだこと。
- いったん氷がなくなれば、海は太陽光を吸収し温まりやすくなり、温まれば氷ができにくいという相乗効果がある
- 一方で、北極、南極は地球大気の冷却器の働きを荷い、冷却器の調子がおかしくなれば、気候が大きく変化する(→温暖化をさらに加速するという心配の声もある)
- ただし、現状では、北極が温暖化したから海氷が減ったのか、海氷が減ったから気温が上がったのかはわからない。
- 2007-2008は世界の科学者が北極・南極を調査する「国際極年」であり、これらについても詳細な調査が行われることになる。
→温暖化が進んでいるかについて、それ自身に疑いの目を向ける学者もいるようだが、衛星画像でもわかる氷の広さであれば、疑問の余地なく、地球環境変化の影響がわかるというもの。
オゾンホールもそうだが、見た目、わかりやすいものを目標にするなどして、環境運動を進められるといい。(というか、植物起源の燃料はCO2排出量をゼロと「みなす」とか、温暖化問題は、概念的に理解するのが難しくなってきている。さらに排出権取引など、いわゆる京都メカニズムなども含めると、実質がどう、というよりは、空想の世界のように思えてしまう)
日中が演じる「CLV」戦略/東南アジア発展へ協調し競え(26面視点・中外時評)
→先日、NHKでもやっていた。「東西回廊」ができる前はベトナム、ミャンマー間は海路で遠回りするので、相当な時間がかかっていたようだが、かなり時間短縮になったという。
ただし、道路の整備により、CLVに、安い大量生産の中国製品が出回るようになり、地元生産者がかなり苦労しているという話だったように思う。やはり「グローバル化」は難しい。
究める・矢沢永吉「不器用だから止まれない」(25面:詩歌・教養)
ここのコーナーは「教養」の欄になる。そこに矢沢永吉がくることに感動。
ファンの要求と表現者としてのモチベーションのギャップに悩みながら、微調整を繰り返して走り続ける矢沢の言葉。かっこいい。
目標達成危うし「健康日本21」/生活習慣の改善一朝一夕にいかず
厚生労働省が2000年に策定した「健康日本21」の9分野120項目にわたる数値目標。
目標をクリアしたのは10項目で、31項目では数値がむしろ悪化。というニュース。
CO2排出量も同じだが、目標設定が下手なのは、自分の資質ではなくて、日本人の資質なのではないか、と、自分の「ダメ」を国のせいにしたくなる。ただし、記事によれば、生活習慣の改善をともなうもの(予防)は、数値目標を立ててもうまくいかないというのは国際保健の世界で常識だという。
面白いのは、以下の二つの意見。
- 2008年4月から始まる企業の保険組合による保健指導(メタボリック対策)については、筑波大学・宗像恒次教授は「これが深刻なストレスになる」と危惧している
- 高知大学・佐藤純一教授は、健康は定義できず、健康至上主義は、差別を生むファシズム的な考えになりかねないと考えている
ただ、やはり国としては、健康の定義というものをまじめに考える必要はあり、一方で一般市民は、そのような言葉遊びよりも、自分の健康という、半ば自明な点について、十分意識を向けるということが重要なのだろう。