Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

滝本竜彦『NHKにようこそ! 』(文庫)

NHKにようこそ! (角川文庫)

NHKにようこそ! (角川文庫)

で、だ。(上のグミチョコ感想からの続き)
大槻ケンヂグミ・チョコレート・パイン パイン編』(文庫)で、おおお!何だこれは?と思ったのが、滝本竜彦の書く解説。グミチョコの持つ魅力が非常に伝わってくる解説でありながらも、半分以上は、滝本竜彦自身の決意表明、というか自身への鼓舞。
いやあ、他人の本の解説で、「頑張れ、自分」的な内容を読むのは初めてだったので衝撃だった。作者が変な人だというのは、風の噂で聞いていたので、是非とも、著作をと思い、代表作を手に取った。
〜〜〜
NHKにようこそ!』は、引きこもりの話である。そのほとんどが、大学中退で4年間引きこもりの主人公・佐藤、隣室の専門学校生・山崎(これまた引きこもり気味)、そしてヒロインだが、これまたメンタルヘルス系の岬の3人の登場人物のあーでもないこーでもない、という悩みで話が進む。
グミチョコと同じく、この小説もラストで恋愛成就とかいうかたちにはならないし、グミチョコ以上に救いようがない。というか、拍子抜けのラストである。
ということで、物語としては、決して傑作とはいえないが、グミチョコ解説同様、滝本竜彦、という作者自身に関心が向くと、作品の内容以上に何だか凄まじいものを感じる。そう、キャッチーなタイトルなんかには騙されず、ドキュメント番組の一種として読むのが正解ではないか。
2001年12月に書かれた単行本あとがきから、2005年4月に書かれた文庫版あとがきまでの3年半近く、滝本竜彦は一冊の小説も書いておらず、半ば絶望したような文庫版あとがきを読んでちょっと怖くなる。
Wikipediaを読むと、その後、一冊単行本(『超人計画』)を出し、結婚もしているようだから、今のところは、空白の3年半よりはいい状態にあるのだろう。
ということで、作品内容以上に作者の動向がちょっと気になるのでした。