- 作者: 黒井克行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/24
- メディア: 新書
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内容としては、副題にあるとおり、健康維持のための食事についての考え方が示されているが、基本的なコンセプトは、幕内秀夫の著書と大きく変わらない。(以下、4章を要約)
- 身土不二(その土地で育った人は、そこでとれるものを食べるのがベスト)
- 一物全体食(魚でも野菜でも材料を捨てずに食べる。例えば大根の葉や魚の内臓)
- 旬にこだわる(温室栽培や輸入物よりも、その季節、その地域でとれたものを食べる)
特に(1)が特徴で、日本人には、欧米で作られた栄養学は、そのまま適用できないとされ、乳製品やパン類が推奨されないことの根拠になっている。逆に(2)は、玄米食が推奨される根拠となり、とにかく米を食べるために、おかずを摂る、というくらい米をたくさん食べるのが健康の秘訣とのこと。結局、(1)〜(3)をまとめると、行き着くところは、日本の伝統食といえる、ご飯と味噌汁、ということになる。
工藤の奥さん(作中は「お母さん」とされる)は、いろいろな本を読み漁り、各地の食材を(水も)取り寄せるほど、偏執狂的に食の道を突き進む一方で、それがストレスにならないように「あまり気にしない」一面もあり、締めるところは締める、というかたちで、心理的な面も含めてうまく家族の健康を管理しているようだ。
また、プロ野球投手の食事ということで、登板前のげんを担ぐ工夫や、5人(!)の子どもがいる家庭ということで、食事の際のコミュニケーションなど、単純に食事内容だけの話に終始していないところが面白かった。
最終章はレシピと冷蔵庫公開があり、なかなか親切な内容。にんにく粒ごとと、コンビーフ!を入れるトマトカレーは、試しに作ってみたが、ちょっと珍しい感じだった。
最後に、「お母さん」の述べる基本の五箇条を。食事だけに限らず、いろいろなことに通じる考え方だと思う。
- 人から聞いたことは鵜呑みにしない
- 本で読んだ知識をそのまま実践しない
- 常に疑問を持ち安易に妥協しない
- 現在のやり方が必ずしもベストではなく、さらに上を求める
- 食の世界は奥が深く、舐めてかかったら命取りになる