- 作者: 千葉一幹
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2005/07/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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前半では、原作の重要な部分をほぼ漏らさずに引用されており、この一冊でも『銀河鉄道の夜』の全体像がよくわかる。
3回に分かれる講義のテーマは「神なき世界へ」「友だちって何?」「自己犠牲」で、いずれも、初期形と最終形の違いの理由についてや、賢治の目指した世界について、わかりやすく説明されており、非常に読み応えがあった。
よくわからなかった初期形でのブルカニロ博士とのやり取り
「ぼくはカムパネルラといっしょにまっすぐに行こうと云ったんです」
「ああ、そうだ。みんながそう考える。けれどもいっしょに行けない。そしてみんながカムパネルラだ」
についても、うまく解説してあったし、満足の内容。*1
解説には、賢治研究本の読書案内もあり、全体的に丁寧なので、自分のような賢治研究初心者としてはまず読みたい一冊。
なお、読書案内で惹かれたのは以下。
- 作者: 見田宗介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/06/15
- メディア: 文庫
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- 作者: 小森陽一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1996/12
- メディア: ペーパーバック
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参考(過去日記)
石原千秋『「こころ」大人になれなかった先生』
同じ、「理想の教室」シリーズということで。
最近、作者の石原千秋が荻上チキさんの師匠であることを知りました。
*1:愛の持つ利己的な側面を嫌った賢治は、態度としては矛盾のある「博愛」ではなく、個別的な愛(もっと言えば、妹トシへの愛)をすべての人間に注ぎたい、と考えていた。賢治にとっての妹トシは、ジョバンニにとっての、カムパネルラということになる。