Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

マジックと料理は似ている〜マジック教室体験と『はじめてのトリック野郎』

はじめてのトリック野郎 (一般書)

はじめてのトリック野郎 (一般書)

『はじめてのトリック野郎は、手品の魅力を伝える全10話の学園ストーリー漫画です。公式HPはこちら。紹介動画は下。

この本のポイントは、副題にも書かれているよう「演出」。手品というとタネばかりが気になってしまいますが、タネはもちろん紹介した上で、それを「どう見せるか」に主眼を置いた内容になっています。だから、ストーリー運びもそれが念頭におかれており、一見少年ジャンプ的な王道少年漫画の体裁を取りながらも、不可能なことは一切せずに、トリック野郎が周囲の人間を驚かしていきます。
インタビュー記事*1を見ると、コマ割りから台詞、視線まで、マジシャンの内田さんの指示のもとでつくりあげたという、入魂の一冊になっています。個人的な感想ですが、『あたらしいみかんのむきかた』のストーリー部分は、完全にギャグ重視で神谷さん色が濃いのとは対照的です。*2
この狙い通り、通して読むと、例えば10章の手品(カップ・アンド・ボール)で、1章の「ミスディレクション」、6章の「ラベリング」というトリックが使われるなど、色々な手法が組み合わさってひとつの手品が出来上がっていることが分かってきます。それぞれは好みによってアレンジ可能なので、まさに手品は料理と似ている(本書P36)というのが実感としてわかる面白い本になっていると思います。


ただし、あくまで演じてみせる側の気持ちにならないと、この本の魅力は半減。小学2年生のよう太も、クリスマスにプレゼントされてすぐに読み終えましたが、とにかく自分で実行してみることことが大嫌いな人間なので、自分でトライしようとしないまま、10章のカップ・アンド・ボールの手品なども、トリックが難しい…などとぼやいていたのでした。(この手品については、特に実際に手を動かさないと、タネ自体を理解しにくい)


そんなよう太にピッタリの企画が1/12(土)に行われた「〜親子で楽しむマジック教室〜学校にある道具で手品をやろう!」でした。実際に、マジシャンで本の原作?の内田伸哉さんがマジックを教えてくれる素晴らしい内容です。
教えてもらった手品は、トリック野郎に出てきたものも含めて7つ。

  1. 落ちないペン
  2. 消えるペン
  3. ドラえもんハンド
  4. ことだまの予言者
  5. 3択の的中
  6. 眼球カード
  7. カップ・アンド・ボール

例えば、「落ちないペン」なんかは、誰でもタネを知っているような簡単なものですが、最初に内田さんに見本を見せてもらうとやはりびっくりします。そのあとで、見せ方を教えてもらい、ひとつひとつの手品は皆で練習したあとで、一人が壇上で呼ばれて内田さんに台詞などを教えてもらいながら実演する、というやり方で進められました。
最後の輪ゴムの手品なんかは、そのままだと教壇から首がでるかどうかというような子が、ニコニコしながら一所懸命演じて見せて、なかなか感動ものでした。
本などを通じて知識を詰め込んでも得られないことは、スポーツなどの運動や、生物などの自然だけではなく、もっと基本的な部分にもあることが、よう太にもよく分かったのではないか。そんな期待をしています。
家に帰ってから、妹の夏ちゃんにも少し見せてあげましたが、驚いていて良かったです。6つの中には、大人にも十分受けるものがあったので個人的に練習しておこうと思いました。(笑)


ところで、行ってみると会場となったIID(Ikejiri Institue of Designの略で日本語名称は世田谷ものづくり学校)は、旧池尻中学校の校舎を再利用したもの*3ということで、学校そのまま。中は、教室単位でいろいろアートな活動が展開されていて、文化祭感溢れる素晴らしい場所でした。世田谷区の文化度の高さを思い知らされました。(笑)
場所が教室ということで、子どもは前、親は後ろという授業参観スタイルで、このワークショップが行われたわけですが、よう太に関しては、授業参観=拷問と感じてしまう自分にとっては、ひとときも安心できないという意味でドキドキさせられました。ポプラ社の方など周りの大人の温かい支援で何とか終えることができ、良かったです。


ワークショップ後には、よう太に頼んで神谷先生にサインを頂いてきました!念願のむきお君入り!嬉しい。


なお、帰宅後に、改めて、内田伸哉さんのiPadマジックを動画で見て親子で驚いていたのですが、これは教室に行く前によう太に見せなくて本当に良かった。これを見せたら「タネを教えて」と駄々っ子のようになったかもしれません。

*1:世田谷ものづくり学校のフリーペーパーIID PAPER No.79

*2:実際、内田伸哉さんの著書を読んでみて、内田色がかなり強く出ていることが分かりました

*3:池尻中学校はすぐ隣にありますので廃校になったわけではないようです。