Yondaful Days!

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7月に読むのにオススメの児童書〜堀田けい『いくたのこえよみ』

いくたのこえよみ

いくたのこえよみ

昔よりも今の方が子ども向けの面白い本はたくさんあって、出版不況などと言われるなか、児童書の新刊も次々に出ていると感じています。今回はそんな中の一冊を紹介。


『いくたのこえよみ』のあらすじはこんな感じです。
小学6年生の少年・オガタは、あるとき、同じクラスに少し前に転校してきた少女・イクタが人の心を読む能力を持っていることに気が付き、弟子入りを志願する。
イクタが「こえよみ」と呼ぶその能力を手に入れるために、図書委員のカタギリのサポートも受けながら厳しい修行を続け、その成果が表れた頃、いくたの「こえよみ」の力は、本物ではないかも??という疑惑も出てきて、二人の友情にひびが入り…。


テレパシーを題材にしながら、全くSFではなく、事件を通して登場人物が成長したり友情を深めていくという普通の児童小説になっているところが面白かったです。
しかし「こえよみ」という能力自体は、ストーリーとは不可分で、小学生たちの思考回路と設定とが上手くマッチしていると思いました。また、全編関西弁で語られるのもキャラクターが実在するようで楽しかったです。
師弟関係にあたるオガタとイクタは同級生男女ですが、恋愛要素はほぼゼロで、小学生ならではの男女の友情物語となっています。ラストシーンは、これから夏休みというところで、先に向かって開けた終わり方になっているのも清々しく、7月に読むのにはぴったりの作品。
カバーや挿絵もとても内容に合っていて良かったと思いますが、3人のメインキャラクターの性格を表すような4コマ漫画が時々挿絵代わりに入っていたりして、本があまり好きではない子どもでも比較的読みやすい本だと思います。(理論社のHPでは、小学校上級〜となっていますが、感覚的には4年生くらいからでしょうか)
なお、よう太の採点は「ふつう」でした。(同時期の絶賛本はH.G.ウェルズ宇宙戦争』←地球の危機とかの方に興味があるようです)