Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

俳優って凄い〜石井裕也監督『舟を編む』

舟を編む 通常版 [DVD]

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出版社・玄武書房に勤める馬締光也(まじめ みつや)は、営業部で変わり者として持て余されていたが、言葉に対する天才的なセンスを見出され、辞書編集部に異動になる。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」――見出し語は24万語。完成まで15年。編集方針は「今を生きる辞書」。個性派ぞろいの辞書編集部の中で、馬締は辞書編纂(へんさん)の世界に没頭する。そんなある日、出会った運命の女性。しかし言葉のプロでありながら、馬締は彼女に気持ちを伝えるにふさわしい言葉がみつからない。問題が山積みの辞書編集部。果たして「大渡海」は完成するのか?馬締の思いは伝わるのだろうか?

三浦しをんの原作未読のまま、ノイタミナ枠のアニメの1、2話を見て興味を持ち、Amazonプライムで見放題に入っている映画版を観てみた。
ストーリーについては、どうせ原作読んだあとで書くからそれは置いておこう。とにかく、この映画で驚いたのは、主人公の馬締を演じる松田龍平
社交性が全くなく、社会不適合ともいえる性格の役を、「そういう人」としか見えないように演じる、というのは相当にすごいと思う。「演じている」風な演技だと、馬鹿にしているように感じられるおそれもあるが、それが皆無。
お辞儀をしたり、椅子に座ったり、基本的な動作全てが「そういう人」になり切っている。原作を読んでいないからよくわからないが、アニメの馬締も、松田龍平にかなり引っ張られているんじゃないかと思った。
そして、オダギリジョーも、ノリがいいだけの軽いサラリーマンを上手く演じている。2人のハンサム俳優が、その凄みを全く感じさせずに動き回るというのは、それだけでも見る価値があると思う。オダギリジョーの彼女役の、池脇千鶴も、だらしないOL役として、こちらもやはり凄みを感じさせない。
そんな中で、宮崎あおいは、イメージ通りのきりりとしたヒロイン役を演じる。前半は、そういう俳優同士の演技力の戦いを満喫した。
ただ、その後12年が経ってからは、馬締君も成長して落ち着きを見せ、話的にも安定してほとんど印象に残らなかった。勿論、この話の一番のポイントは登場人物よりも、辞書を作る過程そのものにある、ということはよくわかるのですが…。
アニメは、岡崎体育のOP曲も軽快で楽しい。Amazonプライムの番組に入っているし、飛び飛びでもいいから、終盤まで見てみようか。勿論原作も。

潮風

潮風

舟を編む (光文社文庫)

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