Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

何度聴いても飽きないUNION~『SSSS.DYNAZENON』全12話×『SSSS.GRIDMAN』全12話の感想


大好きだったグリッドマンの劇場版。
当初は続編の『ダイナゼノン』を観ていないのでパスするか…と思っていたが、あまりに評判が良いので、『ダイナゼノン』全12話を見て、さらに全部見るつもりのなかった『グリッドマン』全12話を見返し、劇場版に備えた。その感想メモ。

SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)全12話

特徴的な瞳(虹彩)の描き方を見て、この感じだよ!とすぐにアクセルがかかり、楽しく鑑賞。

全体を通した感想としては、グリッドマンに比べると、破天荒な盛り上がり方には欠けるが、うまくまとまった話だった。

例えば、ゴルドバーン登場回(第9話)では、話数的にも話が展開するタイミングだったので、ゴルドバーンの撃墜→ちせの闇落ち、という怖い流れを想像(期待)したが、そうならなかったのは残念。
また、ガウマとオニジャ(怪獣優生思想)のキャラが被り過ぎていたので、「ヒメ」の設定も含め何か明かされる秘密があるのかと思ったが、それもなく、全体としては、オーソドックス過ぎるストーリーにまとまったという印象を持った。

その意味では、クライマックスに「好きです」という直球の告白が入るところが最大の見どころなのかもしれない。


面白かったのは、昨年度の戦隊ヒーロー「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」との共通点が多いこと。

  • 敵味方のチームが明確にあり、その争いが話の主軸にある
  • 味方チームは、召集がかかると遠方からでも現地に駆け付ける
  • 敵味方とは別枠で存在する「怪獣」および人類をどうするかの観点が2チームで異なる
  • 主人公チームの中心メンバーは人間ではなく、敵チームと同じルーツを持っている
  • 敵チームも現代人類の文化に興味を持ち、争わずに遊ぶ回がある。(5話のプール回、8話のラウンドワン回など)
  • 敵チームのメンバーと間に、尊敬、友情、恋愛など、敵対関係からは生まれにくい関係性が表れる
  • 明らかにされなかった設定を多く残したまま本編が終了する

「明らかにされなかった設定」という点では、「グリッドマンと世界観を共有する」としておきながら、共通パーツはグリッドナイトのみ。
髪の色などから、ナイト君は、グリッドマンに出てきたアンチ君のはずだが(そして、お付き役の「二代目」は「怪獣少女」だが)、作中では特に言及がなかった。この辺りは劇場版で分かることなのかもしれない。


一方、今回、解説サイトを読んでみると、設定自体が「電光超人グリッドマン」から引いているものも多く、例えば「5000年前」という微妙に近い過去も、超古代文明を想定するなら5万年前くらいが適切な気がするが、原作準拠ということのようだ。

先ほども書いた通り、グリッドマンとの接点が予想より少ない作品だったので、映画でグリッドマンのキャラクター達とどう絡むのかが楽しみだ。

SSSS.GRIDMAN(グリッドマン

はじめは、一度見たアニメだから、ポイントのみで足りるだろうと思っていたが、第一話を見返してみると、「記憶喪失」という基本設定から忘れていることに気づき、結局全話鑑賞した。

全話見返して驚いたのは、「この世界はアカネによってつくられた世界」という基本構造が、終盤明らかにされてその後クライマックスに、というような流れではなく、徐々に明らかにされていくこと。(以下に示す)
そう考えると、この作品は全12話を通して見ないと意味がない。

  • 怪獣を作っているのは新条アカネであることが視聴者に明かされるのは第2話。
  • その事実を(怪獣少女によって)響裕太が知り、さらに街全体もアカネが壊して直してを繰り返していることを知るのは第6話。
  • 同じことを、響裕太がアカネの口を通して聞き、アレクシス・ケリヴと対面するのが第7話。また、この回では空の上に「天井の街」があることが判明する。
  • そのことを、内海と六花が教室で(アカネから)知らされ、宣戦布告されるのが第8話。さらに、この回では、六花をはじめとしたクラスメイトがアカネを友達と感じ、好意を抱いているのは、アカネが「そう設定した」からであることが示される。


一方で、アカネが「神様」であることがわかる第6話以降、逆にアカネはグリッドマンに対する連敗で手詰まりを感じ、孤独を深めていく。

  • 第7話では、自分の関知しないところでアレクシス・ケリヴが、怪獣を作って(アンチ君持ち込み企画)いることに苛立ちを感じる。
  • 第8話では、これぞと思った怪獣をグリッドマンに倒され意気消沈。
  • 第9話で登場する特殊な怪獣は、夢を使ってグリッドマン同盟の3人を仲間に引き入れようとする。このあたりから、アカネは「敵」というより「救うべき相手」として扱われるようになる。
  • 第10話では、アカネが最後に作った凡作怪獣があっさり倒されて、アカネがさらにダウナーになり、アレクシス・ケリヴからも心が離れていく。凡作怪獣の中に入っていた(アカネの心を反映した)怪獣にグリッドマンは苦戦するが、アンチ君が変身したグリッドナイトに救われる。そしてこの回ラストはアカネが響裕太を刺してしまう!
  • 第11話では、自身を失ったアカネが「次の怪獣」の打診を断り、アレクシス・ケリヴが「ありもの」で作るも、グリッドナイトと復活したグリッドマンに倒される。そしてラストでは、遂にアカネが怪獣にされてしまう。
  • 第12話(最終話)では、アンチ君により怪獣から引き出されたアカネだが、そのの残存エネルギーを利用して、即座にアレクシス・ケリヴが怪獣化。グリッドマンは、「倒す」のではなく「救う」力でアレクシス・ケリヴを撃破。


この12話で六花がアカネに向けて言う台詞「ずっと一緒にいたい。この願いが叶いませんように」は、すぐには理解できない内容だったので、解説ページを検索して調べてしまったが、このセリフにこそ「電光超人グリッドマン」から連なるグリッドマンの世界観の特徴が現れている。
六花は、自らが作られた仮想世界の住人であることを自覚し、アカネに現実世界と向き合ってほしい(仮想世界にとどまらないでほしい)ということを伝えたかったのだ。

ラストでアカネは実写映像として登場し、および主題歌で歌われる「君を退屈から救いにきたんだ」との符合もあり、物語終盤はすべてアカネの救済に収束していく流れが面白い。
ただ、このラストで物語は閉じており、この作品の続編をつくる際に、アカネの空想世界(響裕太や六花、内海がいる世界)を舞台にするとは想像しにくいのだが、劇場版は一体どんな内容になっているのだろうか…。

→劇場版の感想に続く。


それにしても、後半にかけて強くなり、第11話で主役級の活躍(アカネを救う)をするアンチ君。
コピー能力をベースとしてオリジナルを凌ぐ強さを身につける、という、大好きなキャラクターである「アプトム」(強殖装甲ガイバー)に非常に似た特性を持っていて推せる。


そして何より何度聴いても飽きない主題歌「UNION」。
ストーリーとのリンクも含めてこの輝きは色あせない。