Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

尋常じゃない「聡実くん」祭り~綾野剛・齋藤潤主演『カラオケ行こ!』


チラシを見たときから「これは、漫画そのままでは?」と思っていた。未読だったが、原作漫画の存在は知っており、和山やま作品も『夢中さ、きみに。』を読んだことがある。チラシの2人は漫画の2人にイメージ的にぴったりじゃないか。


実は初めて原作漫画を読んだのは映画を観に行った当日の朝。
頭の中に綾野剛と齋藤潤(岡聡実役)のイメージが入り込んでいたからかもしれないが、今思えば、その時点で、映画キャストに当てはめて漫画を読んでおり、すでに映画を観る前から漫画と映画が一体化していた。

そして実際に観てみると、映画の感想はとても独特で、何というか「聡実くん祭り」という感じ。途中から、彼がどんな表情、どんな声で「紅」を歌うのか?ということが気になって仕方なくなり、筋や映画のアレンジよりも、齋藤潤演じる岡聡実をひたすら観察するような映画体験となった。

映画独特の追加要素*1も、成田狂児よりも「聡実くん」を映えさせるものが多く、特に、岡部長への尊敬、妬み、軽蔑などがすべて顔に出る2年生の和田くんのキャラクターが最高だった。
映画を見る部の栗山くんと聡実くんの2人のビデオ鑑賞の様子は、むしろ漫画っぽいつくりで、何故これが原作に入っていないのか不思議なくらい。


そして、聡実くんと同じくらいfeatureされるのが『紅』。
そして、映画ならではのアレンジとして、イントロ部分の英語詞を日本語詞に変えたのもストーリーに深みを持たせているし、エンドロールの楽曲が『紅』になることは予想が出来ていたが、それが「合唱ver」であることまでは読めなかった。
このあたりはすべての改変が正解過ぎて驚くほど。
肝心の聡実くんの歌唱は、思ったより「普通」ではあったが、彼の魅力が倍増したのは間違いない。



しかし、この映画を観ることになったきっかけの最後の一押しは、実は、年末から集中放送を追っかけたドラマ『MIU404』。映画『カラオケ行こ!』には、『MIU404』の伊吹(綾野剛)、陣馬さん(橋本じゅん)が出ているだけでなく、何といっても脚本を野木亜紀子が手掛けている。
『MIU404』も『アンナチュラル』も、全エピソード好きなものばかりだったし、一番最近見た『MIU404』の最終回も、本当に良かった。その野木節が、どのように『映画行こ!』に反映されているかというと、何とも言えないが、場面転換のテンポの良さやギャグの切れに加えて、脚本ゆえなのか監督ゆえなのか分からないが、共通して俳優の演技を引き出した作品になっていると感じた。綾野剛は、2作品で雰囲気が全く違っていて、やっぱり役者ってすごい。
今年は、夏公開作品として、『MIU404』『アンナチュラル』と世界を共有する『ラストマイル』が待っている。これは本当に楽しみだ。
last-mile-movie.jp


そして、映画鑑賞後に、続編の『ファミレス行こ(上)』も読んだ。
これがまた、続編なのに独特な雰囲気を持った作品で、先が読めない中、最後に驚きの展開があって、下巻が待ちきれない。

和山やま作品は、『女の園の星』も未読で、1作品見ただけで、いろいろと宿題の増える映画でした。



*1:先生役の芳根京子も良かった!ピアノを実際に弾いているというのも驚きです。