Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

浜田和幸『ウォーター・マネー』★★★

珍しく衝動買い。
気取ったペーパーバックと、文章中のキーワードの後に英訳語が並ぶ、面白い形の本。光文社ペーパーバックスというらしい。光文社は新書もあるが、新書よりも読み捨てのイメージなのか?でも値段は高い。
今回は、気になった部分だけ、拾いメモ。

  • イラクアフガニスタンでは米軍による水源地攻撃(ダム、パイプライン。上下水道なども含む。)が行われた。これは当然ジュネーブ協定に違反している(P26あたり)
  • 一人っ子政策の最大の弊害は男ばかり増えて女が減った点である。…堕胎や捨て子が横行し、人口男女比が大きくゆがんでしまった。その後、2001年に2人目を認める新法が可決され(事実上の一人っ子政策の廃止)、結果として、人口が急増し、何億人という海外流出につながっている。(P38)
  • 水道民営化は、上手くいく場合もあるが、失敗した場合、貧しい住民が水道料金を払えずに、汚染された水を飲み、伝染病が蔓延するなどの被害が拡大する可能性がある。
  • 世界人口の60%近くが国際河川の流域に住んでいる。riverの語源はライバルの語源と同じである。(P131)
  • 日本の年間水使用は約870億m3。試算によると仮想水(主に農畜産物)の輸入は640億m3。仮想水(主に工業製品)の輸出は14億m3。*1(P141)
  • 人間の体の細胞は平均すると3年周期で全部が変わることになるが、乾燥地で育ったブドウに多く含まれるテロメラーゼを食べることによって周期を長く(ということは寿命を長く)できる。(P164 )
  • NTTドコモによれば、早ければ2004年中に、燃料電池携帯電話が登場するという。(P174)
  • 世界の水問題を大幅に改善させるのに必要な金額は概ね2兆円弱であり、米国がイラクでの治安回復のために要請している金額870億ドルの1/5以下である。(P179)

内容をすごく簡単に書くと、以下の通り。

今後、水の紛争や、水をもとにした経済摩擦がどんどん増えていくが、日本は、これから淡水化技術や乾燥地農業の技術を世界に広めていくことで、また燃料電池用の水素立国となることで、来るべき「水の世紀」に備えよう。

中国の砂漠化について取り上げられている部分があるが、中国の環境問題は、相当に根が深いようだ。非常に不安。
最終章では、燃料電池(車)がもてはやされているが、僕の中では、燃料電池車はまだ実用化の見込みがなく、ハイブリッドカーが増える、というような理解だったが、違うのだろうか?
また、仮想水の輸入に関連して食料自給率の問題については、どこまで増やせばいいのか(増やす必要がないのか)、もう少し勉強してみたい。

*1:東京ドーム一杯分は約124万m3 http://www.tokyo-dome.co.jp/dome/shisetu/01.htm