Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

教えることと学ぶこと

ここ最近のゴーログにおける教育についての取り上げ方は、教育の内容や教師の質に多くを求めすぎているように感じ、自分が普段思っていることとは異なるので筆を取ってみた。

週刊!木村剛 powered by ココログ: 素敵な先生方を増やすために

以下に書く内容は、小中学校をイメージしているものであり、高校以上については、意識していない。また、僕自身は、教育に関わる仕事をしているわけではないが、義父母が教師をしており、そこから伝え聞いたことをもとに書いた部分が多い。

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教育内容や教師の質についても改善していかなければならないのは確かだが、そこに重点を置きすぎるのは、むしろ問題だと思う。そう考える理由は3点ある。
まず一つ目は、万人受けする「素敵な先生」は望めない、ということ。僕自身にとっても理想的な「素敵な先生」像はあるが、それが他の人と全く同じであるはずがない。また、授業は一人で受けるものではないから、僕にとって理想的な教師と出会っても、クラスの雰囲気の中で、それが実らないことも多いと思う。
二つ目に、教師にとって荷が重いということ。「しつけ」について少し行き過ぎた言動があるだけでも、地域によっては、簡単に親から苦情が入るし、場合によってはマスコミ沙汰になることもあり、多くを期待されているはずの教師にはあまり権限はない。しかも教育以外の部分の雑務も多く、批判される「教科書的」な指導方法でも、時間的にはいっぱいいっぱいで、工夫する余裕が無い。(ゆとりが無い*1
三つ目に、学校の問題、教育の問題は、実際には地域の問題、家庭の問題でもあるはずだが、全てを教師に求めることで、「閉じてしまう」ということ。どんどん「密室」化していくことで、誰も学校で起きていることがわからなくなる。
 
さて、僕自身は、教育の問題は「動機付け」の問題がもっと重視されるべきだと思う。例えば、「ニート」の問題は、義務教育の年頃に、学ぶ「動機付け」が与えられなかったことに端を発すると考える。*2そして、自分の経験からするとそういった「動機付け」は、いろいろな人との関わりの中で生まれると思う。そういう意味では、教師の質ではなくて、量の方が問題だ。
例えば、ゴーログにトラックバックされた方の中にも、「総合学習の時間を地域に任せた方がいいのでは?」という意見を見かけたが、賛成だ。
僕自身は、一人の「素敵な先生」に教えてもらうよりも、あまり素敵ではないかもしれないが「多くの先生」に教えてもらうことの方が意味が大きいと思う。
これ以降は、一つのアイデアだが、誰が教えることによって、先生の負担を減らすか、ということについて、以下のようなことを考えた。はっきり言って現実的かどうかは棚上げさせてください。
①やる気のあるNPOに一科目丸々委託してしまう。
→上でも述べたが現実的な案だと思う。総合学習NPOに任せる特区とか既にできているのでは?
②高齢者の方に教えてもらう
→教えたい人は多いはず。これも実際に行われているところはあると思う。
③中学生に小学生を教えてもらう。
→「教えることによって学ぶ」というだけでなく、教師の大変さがわかる。役割を与えられることで、責任感が生じるし、教える側の中学生にとって意味が大きい。(この案は教師の負担増になると思いますが)
裁判員制度のように、無作為に選出された人が、数回の講習を受けたあとで教鞭をとる。
→教育をなるべく「開いた」ものにするにはこれくらいやっても良いと思う。数多くの人が関わり合うことで、学校で顕在化している地域の問題を、教師で無い大人も我が事として捉え、まじめに考えることができる。
 
昔は、教育のうち、学校ではなく、地域や家庭が受け持っていた部分が大きかったのだと思う。しかし、地域や家庭からそういう「ゆとり」が失われて、学校にしわ寄せが行っている。そういう意味では、上に挙げた案は、そういった「地域や家庭が分担していた部分」を丸ごと学校に与えるので、さらにその傾向を強めるものにも映る。しかし、学校を中心として、多くの人が関わることで、「しわが広がる」のではないかと思う。
と書いたところで、ゴーログを見ると、次のエントリが・・・。*3

私も、詰まるところ教育の問題は、学校の問題としてよりも、私たち大人の問題として捉えるべきではないかと思っています。現在の学校教育に関しては、改善を求めつつも、その一方で過度な期待をすべきではないでしょう。

確かにその通りなのだが、そう言ってしまうと曖昧になってしまう。一連のシリーズがこういったまとめ方で終わるとしたら、少し残念だなあと思った。
「教えること」と「学ぶこと」、生きていく中では、その両方が必要で、相乗効果で前進していくように思う。義務教育の年頃に「教えること」を学ばせる上の③のような案が、実際には鍵になってくるのかなあと思う。

*1:ちなみに週休5日制になって、当然、平日の残業が増え、先生同士の結びつきも減ったというから、教える側にとっても「ゆとり」になっているかどうか・・・。

*2:NEET」の「T」はNo Training、職業訓練=学ぶこと。

*3:ゴーログは更新が早すぎてとてもついていけません。興味のあるときのみ読んでいますので、今回のエントリももしかしたら的外れかも・・・。