Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

生島淳『駅伝がマラソンをダメにした』★★★☆

駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書)
例年はスルーしていたのだが、今年の正月は箱根駅伝をテレビ鑑賞。往路6位の亜細亜大が優勝という波乱の展開もあり、初日はお笑いとザッピングしていたが、9区、10区のラスト2区は、ほとんどテレビに釘付け状態だった。
感動冷めやらない1月3日、別の目的で本屋に立ち寄ったときに、このタイトルを発見し、即購入した。こういうのは、やっぱりタイミングが重要だと思うのだ。鉄は熱いうちに打たないと、何にもならないのだ。(なお、先週号?の週刊少年マガジンでは、駒沢大学の大八木監督と藤田敦史を扱った読み切りが掲載されていたが、これもよかった。当然、箱根駅伝に合わせたものだが、いいタイミング。)
 
駅伝に否定的なタイトルではあるが、本の内容は、それだけではなく、いかに駅伝が面白いスポーツかがよくわかるように書かれている。筆者は、駅伝が好きでたまらないが、それゆえに駅伝が抱える問題も多数見えてしまい、そういったアンビバレンツな感情がよく文章に表れていた。
駅伝の抱える問題点について、簡単にまとめると以下のようになる。

  1. 駅伝は、日本独自の競技であり、駅伝の偏重により、マラソンやトラック競技等の国際的な種目が犠牲になる。(大会スケジュールの問題もある)
  2. 選手の負担が大きすぎる距離設定で、トラブルが多い
  3. 大会が大きくなり過ぎ、視聴率稼ぎや、大学の宣伝というスポーツに関係のない部分が大会ルール等に大きく影響するようになった。

「おわりに」で書かれているように、これらは全て高校野球にも共通する問題だ。
こういった「スポーツのあり方」については、諸々の問題があることは知っていたが、これまであまり興味を持てなかった。特に、昨年は、高校野球界で、明徳義塾が不祥事で出場辞退、優勝校の駒大苫小牧にも暴力事件が判明するなどの大きなニュースがあったにもかかわらず、だ。
そういう意味では、スポーツの、そして視聴者の「感動」の背後に隠れた「暗部」に関心を持つきっかけを与えてくれたいい本だった。
ちなみに、高校野球の暗部については、以下が参考になりました。