Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

我が家で大人気のエッセイ漫画〜たかぎなおこ『マラソン1年生』『マラソン2年生』

東京マラソンのテレビ中継でを見て、「走る人たちが楽しそうだ!」と興味を持った作者が、マラソンを始め、大会にもチャレンジしていくエッセイ漫画で(現在のところ)全4巻のシリーズもの。
不思議なことに、スポーツ嫌いな我が家の兄妹(小5、小2)に大人気で、繰り返し読み返している。(面白いからと言って、「マラソンやりたい」とは言いださない…orz)
何故子ども達がここまで好きなのかと考えて要素を挙げてみると…

  • 辛そうなところや大会以外の日常の練習部分も面白く描けているから
  • ラン友とのふれあいやライバル意識が楽しく描けているから
  • 少しずつだけど「成長」が描けているから

ということで、エッセイ漫画でありながら、かなり薄まりながらも週刊少年ジャンプの方程式「努力」「友情」「勝利」が入っているからではないかと思った。それでいて、扱っているスポーツが、誰でもすぐに始められるランニングというところが、スポーツをしない人にも「地続き」な感じがしたのかもしれない。


また、「一年生」の序盤から、金哲彦さんの指導が入って、技術的な要素もあるので、練習、グッズ、フォーム、大会の準備など基本情報について、この一冊だけを頼りにマラソンにチャレンジできる本になっていると思う。(実際、「二年生」や「ローカルマラソン旅」では、大会の会場で「マラソン1年生」を読んでマラソンを始めたファンと会っているし、後述するインタビューでもそのようなファンに支えられたと書いている。)


しかし、やはり一番の魅力は大会参加の面白さ。
「一年生」では以下の大会に参加した模様が描かれている。

このうち、2つのハーフマラソンでは2:02:26→2:00:44とタイムを伸ばし、フルマラソンでは5:01:05ということで、初心者としては多分かなり速いタイム(自分の昨年のハーフ、フルの記録よりもかなり好記録です)で、かなり練習を積んだのだろうなあと想像する。
でも、ギリギリ初心者と言えるタイムで、かつ、ハーフでの2時間切り、フルでの5時間切りという明確な目標が自然に立ってしまう、まるで漫画のようなタイム(笑)であるとことも、この人の「持っている」ところなのだろう。


「二年生」では、ただ参加するだけでなく、色々と新たな挑戦が見られ、これ以外にトレイルランニング(簡単にいうと登山ランニング)の話も出てくるなど、どんどんマラソン像は「独りで辛くて苦しいもの」ではなく、「みんなでわいわい楽しいもの」になっていく。

そして、タイムはハーフでこそ記録が伸びなかったものの、フルマラソンでは4:39:56と、順調にサブ5を達成している。
このように、確かな成長が見えるところがこの漫画のいいところで、それがイコール、マラソンというスポーツのいいところ。そのためには十分な練習が必要だが、そういった練習に取り組めた理由としては、やはり、本を書くという目的があったことも大きいと、フリーアナウンサー浅利そのみさんとの対談で答えている。

たかぎ「そうですね。仕事で走るのは大変ですけど、気持ちが入ります。練習をサボらなかったのも、タイムがあまりにもひどかったら読者さんに申し訳ないと思うからです。あと、けがをしたらマンガにならないですし。けがをしないで、できたらいいタイムでゴールしないといけないと、いつも思っていました。そうやって成長していく様を、読者さんに見てもらいたいなあと」


それだけでなく、シリーズ4巻を通じて6年間もマラソンを継続して少しずつでも記録を伸ばすことができたのは、やはり、仲間の影響が大きいという。これは、たかぎさんだけでなく、一緒に走っている担当の加藤さんも口を揃えて、「三人目」のメインキャラクター「のりこさん」の影響が大きいと答えている
やっぱり一人でやっていると続かないんだなあ、仲間をもっと増やさねば…と思った。

浅利そのみ「たかぎさんがマラソンを始めてから、まる6年が過ぎました。やめていく人も多い中、どうしてそんなに続いたのでしょう?」
たかぎなおこ「一緒にマラソンを始めた『のりこさん』が、超がつくほどまじめな人で、あんなにがんばる人を見て、自分もがんばらなきゃって思ったんです」
浅利「『マラソン1年生』に最初から出てくる方ですね」
加藤玲奈「のりこさんは練習もまじめだし、すべてにおいて鑑(かがみ)みたいな人です。一緒に地方の大会に出ると、時間管理もしてくれるんです。前の晩に遅くまで飲んでいると、『早く寝たほうがいいですよ』とか(笑)」

(3、4巻を取り上げた後編につづく)