別々の作者による山登りエッセイ漫画を連続して読んだ。
しかも二人は偶然にも同じ鈴木姓。
同じジャンルのエッセイ漫画ということで比べて読んだが、方向性が全く違って面白かった。
鈴木ともこ『山登りはじめました』『山登りはじめました2』
- 作者: 鈴木ともこ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/06/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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山登りはじめました2いくぞ!屋久島編 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
- 作者: 鈴木ともこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2011/03/01
- メディア: 単行本
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まずは鈴木ともこさん。
鈴木ともこさんは、我が家で未だに根強い人気を誇る たかぎなおこさん*1の漫画にも登場しているようで、娘が「あ、この人、たかぎなおこさんの本に出てた人だ」と言っていた。(内容的に『マラソン一年生』の戸田マラソン?読み直してみます)
実際、たかぎなおこさんのエッセイ漫画に雰囲気はとても似ていて、「仲間と一緒に行く旅の楽しさ」という観点から山登りを紹介する本になっている。
鈴木ともこさん+編集・今尾さん、たかぎなおこさん+編集・加藤さんの4人での登山となった丹沢・塔ノ岳の回では、徹夜明けで参加し、テキーラを携帯するなど、(たかぎなおこさんの漫画ではおなじみの)加藤さんの変人っぷりが遺憾なく発揮されている。
また、何度かご両親が登場するのも、たかぎ漫画の雰囲気そのままだ。
ちなみに、大道芸人をやっているというお母さんが面白い。↓
しかし、たかぎ漫画と一線を画す、この漫画の特徴は、山登りに同行する相手として、旦那さんが頻繁に登場すること。二人は当然仲が良いんだけど、かといって、イチャイチャを感じさせない、良いバランスになっている。
エッセイ漫画というジャンルは、イベントの楽しさを実際よりも数倍に増すのが得意だが、登山という危険を伴う趣味に対しては、楽し過ぎるガールズトークは似合わないということなのかもしれない。男の方が安心というわけでは勿論なくて、男女間の盛り上がりすぎない落ち着いた会話が登山の雰囲気に合っていると思った。
なお、2巻を読んで、やっぱり屋久島に行ってみたくなりました。
鈴木みき『あした、山へ行こう!』『悩んだときは山に行け』
- 作者: 鈴木みき
- 出版社/メーカー: 講談社
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- 作者: 鈴木みき
- 出版社/メーカー: 平凡社
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そして、鈴木みきさん。
この人の作品は本気度が違って、エッセイ漫画では括れない、専門的な内容を多く含む。
『悩んだときは山に行け!』を読むと、この人が辿ってきた道がよくわかるが、24歳でカナダで山に出会い、それ以降、山の魅力にとりつかれ、山雑誌読者モデル(?)、山小屋勤務などを経て、『山と渓谷』で連載を持つような登山系イラストレーター。
自身の豊富な経験から、とにかく「まずは一人で山へ行け」と怖いことを言う。山のことを知っているからこそ本のタイトル通り「あした、山へ行こう」という行き当たりばったりの決断ができる。
↑フローチャートでは、大人のガイドツアー、山岳会、わいわい登山などの選択肢の中から「ひとりで行け」をシード権扱いにしてます・・・
一方で、山へ行くための準備や装備、ルート設定についても本格的というか、わかっている人のアドバイス。装備については、まずは必要なものを絞り込み、家にある代用品を探して、それでもなければ必需品のみ購入する。何度も行きながら買い揃えよう、という、とても説得力のあるアドバイスがそこかしこに溢れる。
「ひとり」をおすすめしているので、エッセイ漫画としてはワイワイガヤガヤ系ではなく、(勿論、山の仲間もたくさん出ますが)ひとりごとベース。『悩んだときは山に行け!』のタイトル通り、進路に、、恋愛に、個人的な悩みがちりばめられているのが面白い。
本格的に山に行きたいと思ったら鈴木みきさんの関連本を熟読しようと思いました。
総括〜登山の楽しみ
たかぎなおこさんや、キクニのマラソン漫画でも、最初に「なぜ、マラソンをするのか?」という話が出てきたが、鈴木ともこ、鈴木みきの漫画でも「なぜ、山に登るのか?」という話が出てくる。
この答えとして共通するのは、達成感という部分があるが、登山の場合は、どちらも、(具体的に言葉で答えが示されるわけではないが)「自然との一体感」みたいなものが描かれている。マラソンよりも、もっと宗教的な感覚が、登山が人を惹きつける理由のようだ。
自分も大学のときに上った富士山で御来光を拝むことが出来たらもっと登山に惹きつけられたかもしれないが、自分のときは悪天候で何も見えず、「富士山なんか二度と行くかボケ!」と思い、それ以降しっかりした登山はしないままとなっている。
まずは高尾山から始めて子どもと一緒に山に登るのもいいなあ、と、今は思っています。