Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

小谷野敦『バカのための読書術』★★★★

バカのための読書術 (ちくま新書)
実用性が高い本。
僕はブックガイドの類は大好きなのだが、やはりそこで薦められる本は、著者の衒いがあったりして、やはり基礎よりもワンランク上のものが挙がることが多い。実際その通りであり、結局読みたいなあと思っても、手に取ったら読む気が失せるなどということはよくあること。*1そういう意味で、この本は対象をバカに絞っているということで気が楽だ。
冒頭で結論付けられているが、バカは「歴史」を学べ、と小谷野敦は言う。いろいろと理由は書いてあるが、無駄にならない、という功利的な理由が大きい。
ここら辺は、まさに我が意を得たりの内容で、古典だ歴史だ、と、ここ2年くらい自分に発破をかけながらも、十分に出来ているとは言えない「歴史の勉強」に取り組む気持ちが再び湧いてきた。
本を読まずとも、マンガでも大河ドラマでもいいから、まずはストーリーを追えという話になっているので、『功名が辻』も引き続き見ていこうと思う。(実は、戦国時代ですらよく知らないので、本当に勉強になる)
ブックガイド以外の部分では、呉智英や梅原孟がたびたび登場し、賛美と批判と両方が浴びせられたりするなど、作者の好み(本音)の部分が前面に出ていて、なかなか面白かった。
ただ、章ごとの関連本を整理したリストを巻末に置くなどの工夫があるとなお良かった。それだけが心残り。*2

*1:斎藤孝のものは、そうでもなかった気がするが・・・

*2:例えば、斎藤孝『読書力』や伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』では巻末にリストがあって使いやすい。