Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

ガシッよりパカッでピピッだと思うのです。

先日、地下鉄で隣に座った女性(20代と予想)がニンテンドーDSをやっていた。
自分なんかは、携帯ゲームを持っていたとしても絶対に外ではやらないだろうし、小学生が電車内でピコピコやっているのを見ても、恥ずかしいと思ってしまうのだが、その女性は何かかっこよく見えた。
 
その理由を考えてみると、あのタッチペンのせいなのだ。
携帯電話というよりはノートパソコンをイメージさせる、「パカッ」と開くスクリーンとタッチペンは、一見、「ゲーム」ではなく「電子手帳」に見える。
中に入っているゲームは、この際どうでもいいとして、PSPとDS(タッチペン操作)、どちらの方が知的に見えるかといえば明らかにDSだと思うのだ。
両手で「ガシッ」とゲーム機を掴むPSPの姿勢は、これまた電車内での行為が「恥ずかしい」とされている漫画を読むのと同じ姿勢であり、ゲームに没頭している感じを受ける。
一方で、片手でゲーム機を支えてタッチペンでピピッと操作する姿勢には、ゲームと距離を置いた付き合いが出来る大人の余裕が見える。
その女性が実際にやっていたゲームが『役満DS』だったとしてもだ。
 
それに気づいたとき、やっぱりDSは凄いなと思った。
そして、E3で話題沸騰の「Wii」(レボリューション)。僕が感じたようなゲームのインターフェース(コントローラ)に込めたゲーム会社側の思いを語った任天堂岩田社長のインタビュー。
これには感動した。

ゲーム機の歴史を振り返れば,ファミコンからスーパーファミコンへの変化は説明しやすかった。そこから,PS2ゲームキューブへの変遷も,まだわかりやすかった。ただ,だんだん,次世代技術の意味がわかりにくくなってきている。従来の延長で「もっとすごいものを作りましょう」というアピールがユーザーに伝わりにくくなってきたと私は思っている。

もう、何だか全文引用したいくらいなんだけど、ユーザーのことをよくわかっていて、しかもそれに応えることに一生懸命な技術者なんだなあと思う。
やっぱり、あれだけゲーム好きだった自分でもXBOX360PS3には全く食指が動かない。「さらに次世代」の魅力がどこにあるのかよくわからない。
製作者側も、その疑問をわかっているはずだが、それに応える努力をせずに、ひたすら「高性能」に突き進んでも、結局ユーザーに「思い」は届かない。PS3(の主に値段)に対する世間の反応を見ても、PS3が変な方向に進んでいることは明らかだと思う。
任天堂の探っている方向こそが、将来に夢を持てる方向だろう。

「パッケージは5000円です」となると,開発者はどうしても豪華なものを作らなければと思ってしまう。3人が2カ月で作ったとしても,結構面白いゲームができることがあるわけですよ。それをネットワーク経由で500円で販売してみれば,買う人がそこそこいるかもしれない。こういう環境を用意することで,プリミティブな面白さを追求しようという開発者が増えてくれることに期待したい。

本当にその通りだと思う。
結局みんないつになってもテトリスやりたいんですよ。どこのボーリング場にも置いてあるし。
話がずれるが、実際、先日も岩田社長の発言の内容と共通する記事があって、これも非常に興味深いものだった。

新ハードに代表されるようにゲーム機の高機能・大容量化には目覚しいものがある。開発への負担は増大し、ゲーム自身の可能性を閉じようとしている危機状態にあるという議論は、北米でも活発に議論されている。何億円もの資金と、100人もの巨大体制を作らなければゲームは作ることができないのだろうか。この議論に一石を投じることに成功したプロジェクトがある。米国のカーネギーメロン大学の4人の大学院生が始めた、「実験的ゲームプレープロジェクト(experimental gameplay project)」である。これは実験的なゲームを次々に、果てしなく作り続けるというプロジェクトで、アメリカでも新しいゲームの可能性を探る試みとして大きな話題を呼んだ。

実験で明らかになった知見が後半部に示されているが、ゲームだけでなく、ある程度、仕事や人生とリンクしてくるところもあるくらい、面白い結果だと思う。

  • ゲームの開発期間とゲームの成功とは何の関連性もない
  • 最初の段階のメンバー共同でのブレインストーミングは創造性を生みだすことはない
  • 結局は、最初のコンセプトの段階で、はっきりとしたテーマを生みだせているかどうかが最も成功する条件である

 
再び岩田社長のインタビューに戻る。

大作ゲームが出たら集中的にゲームをやり,それが終わると何カ月間も遊ばなくなる使い方も増えているようだが,WiiではニンテンドーDSのように,とにかく毎日電源を入れてもらいたい。そのためには毎日新しくならないとまずいよねと。だからこそ夜中に何かが変わるような仕組み作りが必要と考えた。夜中にネットワークとつながり続けるということも,半導体技術の一つの生かし方と考える。

 我々は技術を全然否定していない。任天堂は技術否定論者と捉えられがちだが,全然そんなことはない。新しい技術の生かし方には,いろんな方向があるということだ。F1カーを目指す人がいれば,ハイブリッド車を目指す人もいる。決して競争じゃない。ただ,どちらの方向がお客様の数を増やすのに有効なのかを考え抜いた結果である。

結局、何のために仕事をやるか、という、いうなればミッション(使命)の部分が、仕事の内容と一致している好例だと思う。ユーザーの気持ちも考えて、会社の顧客を増やすことも考えて、winwinを目指す。それを楽しそうに語る社長。
いい会社だ。任天堂は。
 
と、いうことで、明日はDSを買ってきます。