Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

書名さえも伏せておきます 〜鈴木知之『xxxだもん』

以前、図書館で借りなかった『楽しい昆虫料理』だが、関連エントリを書いたあとで内容に興味が湧いたにもかかわらず、いつも「貸し出し中」という状況に激しく後悔することになった。
これに懲りたため、今回、たまたま「返却本」コーナー*1で出会った『xxxだもん』は、かなり迷いつつも、とりあえず借りることにした。
以下、昆虫系がダメな人には刺激が強すぎるので、「続きを読む記法」を使ったうえで数行開ける。












さて、借りてきたのは『ゴキブリだもん』。

ゴキブリだもん―美しきゴキブリの世界

ゴキブリだもん―美しきゴキブリの世界

以下、目次を追いながら感想を・・・。

1章 日本のゴキブリ

やはり沖縄などの熱い場所の方が種類が多い。*2種類によっては、オサムシ・ゴミムシやカミキリ、ダンゴムシみたいな感じのものもおり、森の中で見つけても、ゴキブリとはわからないかも・・・。のっけから、たくさんのゴキブリの写真を見ることになるので、ルリゴキブリは「日本で最も美しいゴキブリ」等の紹介文を見ても動じない胆力がついてくる。

2章 外国のゴキブリ

当然日本よりも多様で、三葉虫系の形をしたものも多い。
でも、色・模様は異なれど、形はゴキブリそのもの、というタイプを見ると、自分が何を眺めていたかということに気づき、はっとしてしまう。

3章 ゴキブリとは何か?

作者の本気度がわかる学術的な切り口からの文章。

  • ゴキブリの語源は、「御器(食器の意味)」+「かぶる(かじる)」。本来はゴキカブリなのだが、生物図鑑での誤植により、ゴキブリで広まった。
  • ゴキブリの起源は古く、石炭紀*3に出現した「生きた化石
  • 白亜紀に発生した種子植物の影響で、夜行性から昼行性になった一部のゴキブリは美しい色に。(種子植物→花→動物側の視覚の発達→視覚のコミュニケーションの発達→綺麗な色に)
  • 有毒昆虫に擬態する種類がある。
  • ゴキブリは不完全変態*4卵胎生(卵を直接産まずに、体内で幼虫にしてから産む)

(3章)漢方薬としての利用

次に向けての序章

(3章)食用としての利用

やっぱり来た。
今現在は、ゴキブリを食べる地域はないようだが、20世紀初頭までは、世界各地で食べられていたとか・・・

(3章)ゴキブリを食べてみよう!

やりすぎの暴走コラム1。
4品にトライしているが、いずれも虫の形は残っており、料理の写真、留学生のワンチャイ君に食べてもらっている写真が多数。

一応、かき揚げだけは美味しくいただけたようだが、「著者はもう食べることはなかろう」という締めの言葉がすべてを語る。

4章 害虫としてのゴキブリ

  • 4000種いるゴキブリのうち、害虫とされるのは、家屋に住みついた10種ほど。日本国内では5種にとどまる。
  • ただし、ゴキブリを介して病気になった例はほとんど存在しない。
  • 識者に言わせれば、ゴキブリの不潔さは「手を洗わないで食事をすることと大差がない程度の不潔さ」とのこと。
  • むしろ、本の被害が大きい。
  • エアコンの拡大により、かつては分布していなかった北海道でも、ゴキブリが定着してしまっている。

害虫とされるゴキブリの写真が多数あるが、自分が普段見ているのはクロゴキブリだけであり、よく名前を聞くチャバネゴキブリは遭遇したことがないことが判明。

(4章)ゴキブリコーヒーが飲める店

またもや暴走コラム。
友人の体験談として、喫茶店のアイスコーヒーにゴキブリが入っていた話を紹介。再現写真もあり!

5章 ペットとしてのゴキブリ

最終章。具体的な飼育方法が詳しく載っている全く持って理解不能な章。
中では、ペットゴキブリとして紹介されているヨロモグラゴキブリの写真が衝撃的。8cmに達するというその大きさがよくわかる「手乗り写真」があるのだが、タワシくらいの大きさなのだ。形が、通常のクロゴキブリタイプではなく、三葉虫タイプだったのが救い。

全体感想

これまでよりもゴキブリに対して親しみがわくようになった・・・
わけはなく、ダンゴムシやカミキリムシなど他の昆虫も含めて、虫に対する苦手意識が助長されたという逆効果になった気がする。ただし、昆虫に対する興味はこれまでよりも湧いたのが救い。写真も多く、解説も、暴走コラム以外はかなり真面目なので、これからゴキブリのことを勉強したい、という人(笑)にはオススメの一冊。

*1:図書館でまずチェックするのは、新着本と返却本です。返却本は、偶然の出会いながらも、他の人が興味を持って読んだ本ということで「良本」に出会う可能性が高いと思っています。

*2:仙台に来てからは、ほとんどゴキブリに会ったことがありません。

*3:ポニョでも言われていたように、デボン紀は「魚の時代」。続く石炭紀は「両生類の時代」。さらにその後のペルム紀は「爬虫類の時代」。ここで古生代が終わって中生代に突入。三畳紀ジュラ紀白亜紀など恐竜の時代に。

*4:トンボやセミは、親子で形が異なるが、蛹の時期が無いし、そもそも芋虫の時期がないので、不完全変態であることに改めて気づかされました。