Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

大絶賛!『ぼくらの地図旅行』

期待はしていた。絵柄も好みだ。
しかし、ここまでとは思わなかった。
これまで子どもと一緒に、多くの絵本を読んできたが、最近数か月では最も感動した一冊。ようたの感動はそれほどでは無かったが・・・。

ぼくらの地図旅行 (福音館の科学シリーズ)

ぼくらの地図旅行 (福音館の科学シリーズ)

絵本の概要

表紙の絵とタイトルから想像できるように、この本は、シンちゃん、タモちゃん(ぼく)の2人が、地図を片手に旅行する話。読者は、二人と一緒に地図を見ながらの「地図旅行」に参加できるかたちになっている。(当たり前だが、タクシーなどは利用しない!笑)
絵本は、基本的に見開きで一場面。表紙と同様の俯瞰図(シンちゃん、タモちゃんの2人もウォーリーをさがせのように小さく描かれている)が大きく描かれ、右上の固定位置に1/25000地図、左下や左上に2人の様子がアップで描かれ、会話とタモちゃん(ぼく)の気持ちが述べられている。

物語のポイント

中辻の駅をスタートし、目的地の「野浜の灯台」まで12、3キロの距離を小学5年生二人が地図だけをたよりに歩いていくという地図旅行。
当然、途中迷いはするものの、地図に従うことで、灯台に辿り着いてめでたしめでたし・・・という終わり方を誰もが予想するだろう。
ところが、驚いたことに、辿り着けない
正確に言うと、地図通りに道を進んだが、地図に示された灯台には、辿り着けない。
この予想外の展開が非常に面白い。


そして、ストーリー展開だけでなく、地図「信者」(正確には、地図マニアのお兄ちゃん信者)のシンちゃんと、地図「素人」のタモちゃん(ぼく)の心の動きが生き生きと描かれており、絵の楽しさ以上に、二人の会話に引き込まれてしまう。

シンちゃん「じゃあ、この地図がまちがってるっていうのかい。この地図は兄ちゃんがかしてくれた地図なんだよ!」
ぼく「そんなこといったって、この岬には灯台なんてないじゃないか。地図をつくるとき、まちがったんじゃないの。」
ぼくが反論すると、シンちゃんは、ぷいと横を向いてしまった。

エンディングまでの流れは、特に書かないが、最終的に二人は仲直りし、友情を深める。*1
終わってみれば、この本は、単なる地図の使い方本では決してなく、二人の友情の物語だったのだ。*2

物語の舞台

さて、地図の話なので、ブログで紹介するなら、当然、グーグルマップでも載せるか?という話になる。
巻頭には、大きく1/25000地図が紹介されている。地図名は「花香崎(はながさき)」だから、これを調べれば間違いないだろう、と思い、ググってみると、該当するのは、この絵本の紹介ばかり数件。
あとがきを読んでみると、

この絵本の舞台になった野浜という町は、ぼくの住んでいる山口県防府市のとなりにある吉敷郡秋穂(あいお)町がモデルになっています。絵本にするため、地形や地名、それに方角が変えてありますが、何ヶ所かの地名は、実名をそのまま使わせていただきました。

とある。花香崎という地名も、冒頭に出てくる地図も架空のものだったのだ。


そこで、さきほどのグーグル先生の検索結果が役に立つ。
実際に、この『ぼくらの地図旅行』を参考に、灯台に辿り着くという荒業に挑んだ方がいるのだった。

いやあ、絵本にも感動したが、このページにも驚いた。
かなり寄り道しているので、ボリュームは多いが、HPキャラクターのピキ(うさぎ)とクリ(りす)が地図を片手に旅行するさまは、『ぼくらの地図旅行』と重なる。(決して、タクシーは使いません!笑)
写真も多くわかりやすい。是非、絵本を手元に、写真と見比べてほしい。ピキとクリが連発する、「絵本の中にいるみたい」という台詞を、自分も思わず頭の中で連発してしまう。


さて、このページを参考にすると、物語のスタートだった中辻駅は、四辻駅にあたる。


そして最終ゴールの草山崎の灯台は、地名通りの場所にある。


グーグルマップでは灯台の存在が確認できないし、やはり2万5千分1の地図じゃないとなあ・・・という方にはこちら。
2万5千分1地形図名:竹島(中津)
(図郭のかなり北側に位置します)

いやあ、行ってみたい!
(そういえば、小学校のときの国語の教科書で「あの山を越えると海が見える」というのがあったなあ・・・そんな景色です)

補足

「え」の西村繁男さんは、結構見たことあるな、と思っていたが、見たことがあるのは、これくらいだった。(20年以上も第一線で描かれている方なのですね)

おでんさむらい―こぶまきのまき

おでんさむらい―こぶまきのまき

そんなことって、ある? (創作えほん)

そんなことって、ある? (創作えほん)

おばけでんしゃ (絵本・こどものひろば)

おばけでんしゃ (絵本・こどものひろば)

今回、あとがき部分にイラスト索引が載せてあり、ウォーリーをさがせ的な使い方もできるようになっているなど、サービス精神も旺盛の人みたいなので、もっと読んでみたい。

と思ったら、上で取り上げたピキクリばなしによれば、物語内のキャラクターがクロスオーバーして登場したりもしているらしい。ということで、まずは、これかな。

おふろやさん (こどものとも傑作集)

おふろやさん (こどものとも傑作集)

にちよういち (童心社の絵本)

にちよういち (童心社の絵本)

おとうさんと いっしょに (こどものとも傑作集)

おとうさんと いっしょに (こどものとも傑作集)

※紹介されていた「おとうさんといっしょに おばあちゃんのうちへ」はAmazonでは取り扱い無し。

*1:詳細は、下でgoogle先生に教えてもらったもうひとつの絵本紹介サイト「えほんのくに吉備」に詳しい。とてもよく書けすぎているので、自分でくどくど書く気を失いました。笑

*2:確認すると「ぶん」は、那須正幹さん。どこかで見たと思ったらズッコケ三人組の人だった。どおりで・・・。