期待はしていた。絵柄も好みだ。
しかし、ここまでとは思わなかった。
これまで子どもと一緒に、多くの絵本を読んできたが、最近数か月では最も感動した一冊。ようたの感動はそれほどでは無かったが・・・。
- 作者: 那須正幹,西村繁男
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1989/01/31
- メディア: 大型本
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絵本の概要
表紙の絵とタイトルから想像できるように、この本は、シンちゃん、タモちゃん(ぼく)の2人が、地図を片手に旅行する話。読者は、二人と一緒に地図を見ながらの「地図旅行」に参加できるかたちになっている。(当たり前だが、タクシーなどは利用しない!笑)
絵本は、基本的に見開きで一場面。表紙と同様の俯瞰図(シンちゃん、タモちゃんの2人もウォーリーをさがせのように小さく描かれている)が大きく描かれ、右上の固定位置に1/25000地図、左下や左上に2人の様子がアップで描かれ、会話とタモちゃん(ぼく)の気持ちが述べられている。
物語のポイント
中辻の駅をスタートし、目的地の「野浜の灯台」まで12、3キロの距離を小学5年生二人が地図だけをたよりに歩いていくという地図旅行。
当然、途中迷いはするものの、地図に従うことで、灯台に辿り着いてめでたしめでたし・・・という終わり方を誰もが予想するだろう。
ところが、驚いたことに、辿り着けない。
正確に言うと、地図通りに道を進んだが、地図に示された灯台には、辿り着けない。
この予想外の展開が非常に面白い。
そして、ストーリー展開だけでなく、地図「信者」(正確には、地図マニアのお兄ちゃん信者)のシンちゃんと、地図「素人」のタモちゃん(ぼく)の心の動きが生き生きと描かれており、絵の楽しさ以上に、二人の会話に引き込まれてしまう。
シンちゃん「じゃあ、この地図がまちがってるっていうのかい。この地図は兄ちゃんがかしてくれた地図なんだよ!」
ぼく「そんなこといったって、この岬には灯台なんてないじゃないか。地図をつくるとき、まちがったんじゃないの。」
ぼくが反論すると、シンちゃんは、ぷいと横を向いてしまった。
エンディングまでの流れは、特に書かないが、最終的に二人は仲直りし、友情を深める。*1
終わってみれば、この本は、単なる地図の使い方本では決してなく、二人の友情の物語だったのだ。*2
物語の舞台
さて、地図の話なので、ブログで紹介するなら、当然、グーグルマップでも載せるか?という話になる。
巻頭には、大きく1/25000地図が紹介されている。地図名は「花香崎(はながさき)」だから、これを調べれば間違いないだろう、と思い、ググってみると、該当するのは、この絵本の紹介ばかり数件。
あとがきを読んでみると、
この絵本の舞台になった野浜という町は、ぼくの住んでいる山口県防府市のとなりにある吉敷郡秋穂(あいお)町がモデルになっています。絵本にするため、地形や地名、それに方角が変えてありますが、何ヶ所かの地名は、実名をそのまま使わせていただきました。
とある。花香崎という地名も、冒頭に出てくる地図も架空のものだったのだ。
そこで、さきほどのグーグル先生の検索結果が役に立つ。
実際に、この『ぼくらの地図旅行』を参考に、灯台に辿り着くという荒業に挑んだ方がいるのだった。
いやあ、絵本にも感動したが、このページにも驚いた。
かなり寄り道しているので、ボリュームは多いが、HPキャラクターのピキ(うさぎ)とクリ(りす)が地図を片手に旅行するさまは、『ぼくらの地図旅行』と重なる。(決して、タクシーは使いません!笑)
写真も多くわかりやすい。是非、絵本を手元に、写真と見比べてほしい。ピキとクリが連発する、「絵本の中にいるみたい」という台詞を、自分も思わず頭の中で連発してしまう。
さて、このページを参考にすると、物語のスタートだった中辻駅は、四辻駅にあたる。
そして最終ゴールの草山崎の灯台は、地名通りの場所にある。
グーグルマップでは灯台の存在が確認できないし、やはり2万5千分1の地図じゃないとなあ・・・という方にはこちら。
⇒2万5千分1地形図名:竹島(中津)
(図郭のかなり北側に位置します)
いやあ、行ってみたい!
(そういえば、小学校のときの国語の教科書で「あの山を越えると海が見える」というのがあったなあ・・・そんな景色です)
補足
「え」の西村繁男さんは、結構見たことあるな、と思っていたが、見たことがあるのは、これくらいだった。(20年以上も第一線で描かれている方なのですね)
- 作者: 内田麟太郎,西村繁男
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2006/01/01
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- 作者: 奥田継夫,西村繁男
- 出版社/メーカー: サンリード
- 発売日: 1981/06/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 内田麟太郎,西村繁男
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 2007/06/25
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と思ったら、上で取り上げたピキクリばなしによれば、物語内のキャラクターがクロスオーバーして登場したりもしているらしい。ということで、まずは、これかな。
- 作者: 西村繁男
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1983/11/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 西村繁男
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 1979/09/15
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- 作者: 白石清春,いまきみち,西村繁男
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1993/12/10
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