Yondaful Days!

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デルフィニア戦記第3部読了

デルフィニア戦記も第3部を読み終え、第4部の6冊を残すのみとなった。
物語には、主に三つの国があり、第2部以降では、デルフィニアを陥れようとする隣国として、タンガ、パラストの名も頻繁に登場する。しかし、この物語は、あくまでデルフィニア一国の話として進めようとするから、異常に展開が早い。通常だったらタンガの百戦錬磨の武将の話や、パラストの老獪な知将の話にページを割かれることになるはずが、その分、デルフィニアの主要登場人物のキャラ的な魅力を増すために割かれる。(逆に言えば、他国は王も含めて、ほとんど魅力的なキャラクターが描かれない。)

そういう点がライトノベル的なのかどうかは分からないが、第三部は、そういった物語の特徴が明確に出る部分が多かった。特に、以下のような話にそれを感じた。

  • パラストに囚われたデルフィニア国王ウォル・グリークの奪還が、グリンダの活躍というよりは、国王オーロンの弟の圧倒的な馬鹿さによって成っている
  • バルロとロザモンド、ナシアスとラティーナ、イヴンとシャーミアン、ウォルとポーラの恋愛話に割かれる頁数があまりに多い。
  • リィの離婚騒動や、夫婦喧嘩のシーンがあからさまに漫画じみている。
  • 暗殺者で少年のはずのシェラが、侍女としての務めをこなすばかりか、お菓子づくりや買い物、縫物などに熱中し過ぎている。(宿敵ヴァンツァーに勝つためにもっと修行しろ)
  • ここにきて、リィが誰でもかれでも「キスしてやろうか」的な発言を頻発する。(読者サービスなのか?)

物語は、何だかんだ言っても、デルフィニアが圧倒的に強いということが分かっているので、これから終盤に向かうとは言え、中だるみ状態。
ただし、現在はリィの侍女として働くも、もともとは暗殺者であるシェラ、それを狙うヴァンツァー、さらにリィと張り合う身体的能力を持つレティシアというファロット一族らの話は、先の展開が読めない分、なかなか読みごたえがある。
ラストに向けて、どうオチをつけてくるのかには、非常に注目。