Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

モバゲー原作を超えてみせて〜連打一人『王様ゲーム』(1)(2)

王様ゲーム(1) (アクションコミックス)

王様ゲーム(1) (アクションコミックス)

漫画を読むきっかけというものも色々あって・・・。
この漫画は、ツタヤで入手したコミック20冊レンタル無料クーポンを使って、奥さんのために『桜蘭高校ホスト部』というコミックスを18巻分借りた残り2冊分として選んだ。*1
このマンガを選んだ理由は

  • 人気漫画の棚にあり、巻数が短い
  • あまり考えなくても読める
  • 絵が綺麗
  • 前から読んでみたかった山田悠介原作


漫画のあらすじは、このようなもの。

ある日、主人公・伸明のクラスの生徒全員あてに、「王様」を名乗る人物から不可解な命令が記されたメールが届く。最初はごく簡単な命令だったが、命令は次第にエスカレートしていくーー。命令への非服従は死に直結!! クラスメイトたちは生き残るために憎しみあい、殺しあう…。原作はモバゲータウン発の大人気同名ホラー小説。映画化も決定!!シリーズ累計30万部突破の人気小説をコミック化!!


読み始めてすぐに、

  • 山田悠介原作ではない。(背表紙に原作者が明記されているのですがジャンルで判断していた)
  • 原作のAmazon評価が物凄く低い。
  • 絵がバクマン!に似過ぎ。(主人公がサイコーそのまんまで、他にも類似キャラ多数)

と、いろいろなことに気づく。
このうち、バクマンの件については、主人公同士が似ているから、作者が明確に意識してやっているのだろう。内容は全く異なる*2し、相手は超人気漫画なところも大目に見ることが出来るポイント、しかも、「あの」バクマンの真似をするだけあって、かなり絵も上手いので、個人的には受け入れられるレベル(確かにひどいですがw)。Amazonのページでも冒頭の数ページが読めるので、気になる人は是非確認してください。


内容については、2巻まで読んだ感じでは印象は悪くない。作品内で生じている「王様ゲーム」の恐怖はよく表れているし、一つ一つのメールに対する事件も単調ではなく、ドキドキハラハラしながら読める。物語の序盤としては、申し分ない。
ただし、謎(メールを送ってきている「王様」は誰なのか、という部分が、この作品最大の謎ということになる)についてのヒントがあまりに無さ過ぎるのが不満。普通なら、それがミスディレクションであっても、読者側に、何らかのヒントが小出しにされているべきだが、少ない。
Amazon評は特に読んでいないが、煽るだけ煽って、結局、理屈の通らない不可思議現象でした!ということで終わるのだろうか。だとしたら、最終巻だけ「原作」ではなく「原案」表記にして、捻ったオチをつけてほしい。


〜〜〜
江川達也が監督した『キングゲーム』という映画があるのですね。
引用先の批評では、かなり辛い点数になっていますが、文章中の「王様ゲーム」についての説明を読んで、王様ゲームという設定自体が物語を生みやすい上に、日本人のツボをつくというのがよく分かりました。設定に下駄を履かせてもらったにしては、おそらく『王様ゲーム』原作もそれを超える展開を生みだせなかったということなのでしょう。

引っ込み思案でひとり突出した事がしにくい国民性ながら、王様の命令という錦の御旗のおかげでちょぴり過激でエッチなコミュニケーションも可能になる。しかも王様自身、誰が何番なのか知らないというギャンブル性。すなわちうまい具合に、誰も責任を取らずにすむ。まるで官僚制のようなシステムになっている。これを日本的といわずなんというか。

*1:さすがに18冊を読む時間は取れなかったので、桜蘭高校ホスト部の方は読んでいません。アニメも面白そうですね。

*2:ただし、『デスノート』と比較してしまうと、ジャンル的には同じ。しかし全てのレベルで、デスノートが上回る。