Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞7/15

社説:やっつけ仕事の「国民的議論」は残念だ

これからのエネルギーと環境の基本政策を話し合う政府主催の「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」の初会合が14日、さいたま市で開かれた。
2030年に向けたエネルギー戦略の決定にあたり政府が約束した「国民的議論」のキックオフと位置付けられる。エネルギーについて国民が抱く様々な懸念を表明する機会だ。政府は多様な声に真摯に耳を傾けたうえ、最終的には政府の責任で決断を下すべきだ。
(略)
8月上旬には「討論型世論調査」と呼ぶ新しい試みを予定する。全国から200?300人の参加者を募り、東京都内で泊まりがけでエネルギー政策についてグループ討論をしてもらう。意見の異なる人たちが議論を重ねて問題の理解を深めるのが目的で、意見集約が狙いではないという。
(略)
聴取会や討論型世論調査は短期間のやっつけ仕事の感が否めない。国民的議論というなら、時間をかけ全国各地で開催を重ねて意見を聞くのが筋だ。

ずっと「国民的議論」に興味がある。
特に大きな問題になると、すぐに政治家は「国民的議論を経た上で」などという言葉を使って、結論を先延ばしにしようとする。にもかかわらず、自分が生きてきた中で、国民的議論を経て決められたものが見当たらないので、それがどういうものなのかは分からない。
今回の取り組みでは、その意味で、実在する「国民的議論」がどのようなものなのか、を知ることができるチャンスだと思っている。
さて、日経新聞の政府への物言いを抜粋すると以下の通り。

  • 数のうえでは「国民的」にほど遠いのは残念だ。開催の周知も不十分だった
  • およそ1カ月間に全国で10回開くというが、より多くの声が聞けるよう運営方法を改善できないか
  • 討論に使うデータや司会役の人選が重要だ。(主催側が意見を誘導したと受けとられかねない)
  • この結果をどう使うのか、政府は事前に明確にしておくべき
  • 政府が耳を傾けるべき場は官製の公聴会の場だけに限らない(デモの取り扱い)

ここらへんは納得だ。
実際、主催者側の意見誘導については、仙台の聴取会で早くも問題が立ち上がっている。

将来のエネルギー政策について、政府が国民から意見を聞く聴取会が15日、仙台市で開かれた。抽選で選ばれた発言者のうち、東北電力の役員が原発を推進する意見を表明し、参加者が「やらせではないか」と反発、一時中断する場面があった。


また周知の問題については、自分の関心のせいと言われればそれまでだが、あまり知らなかった。HPで公表しているよということなのだろうか。

この選択肢について国民の皆様より御意見を直接いただく「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」を全国11都市で開催いたします。本意見聴取会では、エネルギー・環境戦略の選択肢について御参加頂く方からの意見表明の場も設ける予定です。今後、本意見聴取会をはじめとした国民的議論を礎として、8月にエネルギー・環境の大きな方向を定める革新的エネルギー・環境戦略を決定し、政府として責任ある選択を行います。

11都市には東京は含まれない、というのが、ここの文章を読んだだけではよく分からない(追加公演?)が、ミュージシャンの全国ツアーを考えても、決して多いとは思えない。
一方で、日経新聞が出す国民の側への注文には驚く。

意見を述べる側にも注文したい。原発の必要論者なら地震国の日本でどう安全に運転できるか、不要論者なら脱原発後の代替エネルギーをどうするか、少なくともこの2点くらいは考えを具体的に示す必要があるだろう。原子力への賛成と反対の二項対立を超えた議論を期待したい。

前者も後者もレベルが高すぎないだろうか。議論をする上で必要な基本知識のレベルというものは確実に存在すると思うが、そのちょうど良い塩梅を提示できなければ、誰も国民的議論に参加したがらないと思う。

小沢新党、連携広がらず/野党結集、明確な軸欠く(2面)

11日の新党旗揚げ後、小沢代表は「野党」としての足場固めに動いている。12日は民主党離党者で昨年末に結党した新党きづな衆院統一会派を結成。小沢グループの民主残留組、きづな、新党大地・真民主などの自らに近い議員69人が参加した勉強会にも顔を出した。「自分自身の主張をより鮮明にし、お互いに力を合わせてがんばりたい」と呼びかけた。

今回、政党名が話題になった小沢新党(国民の生活が第一)だが、記事内で「オリーブの木」構想の関連団体として挙げられている党名を見ると、社民党以外はコチラ。

ほとんどの党が、党の描くスローガン(というか受け取ってほしいイメージ)がそのまま出ていて面白い。というか、そこまで書かないと分からないおバカな国民だと思われているのだろうか。テレビ番組の過剰なテロップのようで、どうなんだろうかと思う。

夏の海・山 けがに備えを(14面・健康)

海水浴前には、足がつるのを予防するために「海水浴前の数日間、毎食大さじ5杯ずつ、すりごまを食べると良い」とか、明らかに実行できないアドバイスも気になった。要は、マグネシウムやカルシウムの不足が、足がつる原因らしい。

宇宙の水あめ ヒッグス粒子

水あめという比喩で何となくは分かった気になった。
素粒子の種類は以下の通り理論上は17種で、今回、最後の1種が実験で確認されたというニュースだとのこと。

名人制400年の将棋界(19面:今を読み解く)

将棋ライター小暮克洋さんによる記事。最近の将棋界の話題とオススメ書籍がテンポよく紹介されていて面白かった。

さまざまな棋士の人となりがエピソードを添えて語られる。


われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る

われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る

そろそろ時機を逸するのかもしれないがこれは読みたい。


サラの柔らかな香車

サラの柔らかな香車

日経ブラジル人の少女棋士が主人公の小説。才能とは何かが主題とのこと。

チョコレートの帝国/米国の二大菓子メーカーの「死闘」(19面:この一冊)

チョコレートの帝国

チョコレートの帝国

映画「チャーリーとチョコレート工場」をモチーフに、米国の二大菓子メーカーであるハーシーとマーズの「茶色の魔術師たちの戦い」を語る面白い書評。どちらも見たい/読みたいと思わせる内容は、武蔵大学教授武田尚子さんによる書評。

読書欄

グリーン経済最前線 (岩波新書)

グリーン経済最前線 (岩波新書)

問題山積の昨今、環境政策は世界的に後退したのではないか、という見方を強く否定する一冊。日本は、もはやこの問題で世界をリードする国ではなりつつあるとの指摘も。新書。


ドナウ ある川の伝記

ドナウ ある川の伝記

かなりゴタゴタと情報量があり、読みづらそうな本だが、同時に有数の国際河川の文化を知る本として関心あり。


機械より人間らしくなれるか?: AIとの対話が、人間でいることの意味を教えてくれる

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コンピュータがどれだけ知的であるかを測るチューリングテストの競技大会を、サクラ役の人間側から描いたドキュメンタリー。人間らしさとは何かをめぐる、一級の冒険ノンフィクション。サイエンスライター内田麻理香さんによる評。


不妊治療の現実を軽妙に描いた作品。