Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

第1回オリジナル・ラブファン限定ビブリオバトルの開催報告

最近、趣味のひとつになりつつあるビブリオバトル。(色々な説明の仕方があると思いますが「オススメ本紹介大会」というのが、自分のしっくりくる説明です。)
参加するのも見るのも非常に楽しいのですが、それだけでなく、ビブリオバトルは自ら開催することこそが、功徳を積むことだと推奨されています。(本当ですw ⇒公式サイト参照)
そこで、趣味嗜好がある程度似ていると思われるオリジナル・ラブファンを募ってビブリオバトルを開催することにしてみました!テーマは「オリジナル・ラブファンにオススメの一冊」
結局集まったのは、本を紹介するバトラー6人と観覧者5名、自分を入れて12名。結論から言うと、(個人的には)大成功の企画で、大満足でした。集まって頂いた方々には改めて感謝です。


さて、この企画は、7/15のツアー最終日、オリジナル・ラブ久しぶりの渋谷公会堂でのライブの開演前という、非常に慌ただしい時間に、某カラオケ店で開催されました。
以下、会の進行、紹介された本の内容と合わせて、個人的なメモや薀蓄を追加してまとめました。

ビブリオバトル開催にあたって

今回、見るのもやるのも初めての方ばかりだったので、最初に公式ルールを確認しました。
基本的には、公式ルールに書いてある通りの内容ですが、よく言われるように、チャンプではなく「チャンプ本」を決めるという話と、順位づけはせずに、チャンプ本だけを決めるという話をしました。
今回、タイムキープのためにiPadを持参したのですが、アプリの動作の確認のためと時間運びの参考にと、すぐにバトルに入らずに、一応経験ある自分が見本を見せ、その後、6人の方に本を紹介していただきました。
ちなみに、自分が紹介したのは以下です。みんな同じくらいの世代だし、あまちゃんが流行っている今、80年代アイドルに興味あるよね…というかなりいい加減な理由です。
『松田聖子と中森明菜』で学ぶ80年代アイドル歌謡史- Youtaful Days!


その後、じゃんけんをして順番を決め、各自が紹介したのは以下でした。

1冊目:岡本太郎岡本太郎の挑戦するスキー』

この本が出ただけで、今回の企画をして正解だったと思いました。
オリジナル・ラブとのつながりは、田島貴男が強く影響を受けた*1岡本太郎の著書であるばかりではなく、2011年のアルバム『白熱』のジャケットが、この本の表紙に影響を受けているのではないかという見事すぎる考察も披露していただきました。
本は、岡本太郎が40代から始めたスキーについて語った本で、内容も基本的にスキーの話。三浦雄一郎との対談も含まれているそうです。聞いて面白かったのは、岡本太郎のスキースタイルが基本的に直滑降という部分。イメージ通り過ぎて笑いました。
現在絶版で入手困難な稀少本で、古本で2万円近くはたいて購入したという逸品でした!
いい機会ですので、三浦雄一郎さんの本を読んでみたいと思いました。

2冊目:わかつきめぐみ『So What?』

So what? (第1巻) (白泉社文庫)

So what? (第1巻) (白泉社文庫)

今回のアルバム『エレクトリックセクシー』のビジュアルコンセプトが「サングラス」(笑)なので、サングラスの印象的なキャラクターが出てくるということから選ばれた漫画(掲載誌は白泉社の「LaLa」)。今回の紹介本の中では、一番緩い繋がりでした。(テーマバトルのテーマは、こじつけで全く構わないと思っています。むしろ、無理にこじつけた方が楽しい笑)
今回、小説を持ってくる方がいなかったのですが、これが一番小説に近かったかもしれません。文庫本で全4巻を持ってきていただきましたが、何度も読み返した思い入れのある本ということです。サングラスのスパイが隣の畑で農作業をするエピソードには何のこっちゃと思いましたが、ちょっと気になります。
この本が1990年に受賞している星雲賞コミック部門*2は、自分が読む漫画を選ぶ際の指標のひとつにしているので、その意味でも気になる本ではあります。コンプリートも狙っている賞ですが、既読は以下(リンクはブログ内の感想)。

なお、少女漫画が名作揃いで、まだ健全だった時代というような意見も議論されていました。今の少女漫画は、ストーリーを伏字を使って説明しなければならないものだらけとのことで、現状に強く憤ってる方がいました(笑)

3冊目:小林まこと『柔道部物語』

柔道部物語(1) (講談社漫画文庫)

柔道部物語(1) (講談社漫画文庫)

特に近年のライブで頻出する、田島の“タコ口”からの連想で、気合を入れるときに“タコ口”になる主人公・三五十五(さんごじゅうご)を思い浮かべるという話でした。
特に、田島貴男のエネルギッシュな姿勢と比較して、自分も頑張らなくては、とライブに向けて気分を盛り上げるときに読み返す本とのこと。
紹介したのは女性だったのですが、これまで、身内以外で『柔道部物語』の話をする機会は無かったということだったので、こういう機会に紹介してファンを増やすというのは方法としていいのではないかと思います。
自分は実は未読です。連載当時、スピリッツは読んでいたのですが、ヤンマガの持つ不良っぽい感じの雰囲気が合わなかったということで食わず嫌いですね。あと、単行本の背中もあまり好きじゃありませんでした。『ドラゴンヘッド』は、ヤンマガっぽい背中が表紙デザインで隠れていたので許容範囲だったんだと思います。
あと、汗臭さのない青春柔道マンガの傑作『帯をギュッとね!』の呪縛があったので、今さらこれを読めないというのもあったんだと思いますが、これを機会に全11巻、チャレンジしてみようかと思いました。

4冊目:金哲彦『金哲彦のランニングメソッド』

今ではライブ後にすら数キロ走ることをほぼ毎日続け、それを名曲「エブリデイエブリデイ」に昇華させている田島貴男ですが、前回の弾き語りツアーのMCで、田島貴男が「自分は走ることが好きではなかった」と言っていたという話から始まりました。
紹介した方は、自分も運動が苦手だったが、そういう人にも走ることの楽しさを教えてくれ、かつランニングの基本を一から教えてくれた本として、この本を持ってきたとのこと。確かに、「羽が生えたように動きが軽くなる」という副題と、実際に羽が生えている表紙を見ると、やる気が湧いてきます。
実は、プレゼンは4分くらいで終了してしまったのですが、5分の時間を使い切るのがビブリオバトルのルールですので、残りの一分間も上手く使ってもらいました。今回、なんだかんだ言って皆さん5分を上手く使い切ってました。


さて、運動に関連する本ということでは、『挑戦するスキー』も『柔道部物語』も同じで、期せずして、参加者の興味の焦点は、ライブのための体力維持という「隠れテーマ」に向かっていたことを思い知りました。中でも田島がそれこそ最新シングルのタイトル通り「毎日毎日」ツイートするランニングに関するこの本が、今回のチャンプ本になったのは、非常に納得するところです。
自分もここ最近は少し走っているので、読んで実践したい本です。

5冊目:『アサヒグラフハッブル宇宙望遠鏡特集”』(1998年6月頃発売のもの)

オリジナル・ラブファンには周知の事実である田島貴男の宇宙好き。
宇宙関連の(やや専門的な)タイトルがついた曲も「月に静かの海」「ピストルスター」、そしてアルバム『ビッグクランチ』など多いですが、実際に(少なくとも一時期は)筋金入りの宇宙好きで、天文学者相手にもひるむところが無かったようです。(こちらを参照→http://www.1101.com/original_love/hwi-005.html
だから、このセレクションなわけですが、それだけでなく、『L』リリース時のラジオ公開録音を見に行った際に、ガラス越しにファンであることをアピールするために、頭の上に掲げた冊子だということで、ファンの歴史を感じさせるものでした。
内容は、ハッブル宇宙望遠鏡から見た宇宙について豊富な写真が詰まった内容ということで、アサヒグラフだけあってビジュアル的に楽しめそうな本です。


ハッブル宇宙望遠鏡については、「引退」のニュースもあったので、少し調べてみました。
Wikipediaを読んでもと分かる通り、ハッブル宇宙望遠鏡は1990年に打ち上げられたスペースシャトルディスカバリー号に載って宇宙に飛び立った望遠鏡。これまでに5度の補修工事を受けていましたが、2013年にその役目を終えることになっています。
ハッブル宇宙望遠鏡のよなう望遠鏡は「軌道望遠鏡」とも呼ばれ、地上600?を周回軌道しています。したがって、(質問でも出て回答保留になっていましたが)寿命後は「宇宙ゴミ*3になります。なお、600?という高度のイメージですが、ISS国際宇宙ステーション)の軌道がおよそ400km、ひまわりなどの静止軌道衛星が3万6000?、地球から月までが38万kmですから、結構近くにあります。(笑)
ハッブルの後継にあたるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、「地球からみて太陽とは反対側150万kmの位置の空間に漂わせるように飛行する」と言うので、かなり遠いです。
宇宙兄弟で出てくる月面望遠鏡は、月面で組み立てることで巨大なものを作ることができるというメリットをシャロン博士が説明していましたが、まだ月面基地がない2013年の現実世界には、あまり無い発想のようです。(なお、宇宙兄弟はアニメのみしか見てないため、ネタバレ厳禁でお願いします)
アサヒグラフは入手困難なようですが、ハッブル宇宙望遠鏡関連の本は読んでみることにします。

6冊目:福島県警察本部『ふくしまに生きるふくしまを守る―警察官と家族の手記』

田島貴男が郡山に住んでいたことがあり、その意味でも、田島が福島には色々な思いがあることを知っての紹介です。(紹介者の方も福島に縁のある方でした。)
当時の被災地で危機を乗り越えた者の声を伝えるものとして、これまで多くの本が刊行されてきましたが、その多くが、自衛隊自治体職員。この本は、警察官と、その家族が書いた本ということでやや珍しい内容です。警察官も自らが被災者であるにもかかわらず、地域のために粉骨砕身したという話だけではなく、普段モノを書かない人の手による文章の味が出ていて、涙なしには読めない本だとのことです。タイトルも、シンプルだけれども思いが強く込められていてとてもいい。
オリジナル・ラブの今回のアルバムでも、津波被災地での復旧活動を題材にした「太陽を背に」という歌が入っていますが、オリジナル・ラブファンとしてだけでなく、日本人として、ときに思い起こしたい地域の話ということで、みんな真剣に話を聞いていました。実は、このプレゼンの前に、田島貴男御大が「渋谷系の教祖(そういう見出しだった)」時代に撮られたフライデーが回し読みされていて、ややバカっぽい雰囲気だったのですが、場の空気を変える力を持つ素晴らしいプレゼンとなりました。
じゃんけんで決めたはずの順番ですが、一番最後にこの本が出たのは、また素晴らしいと思いました。

チャンプ本決定

ということで、先ほども書いた通りチャンプ本は『金哲彦のランニングメソッド』となりました。自分がこれまで経験したビブリオバトルは挙手でチャンプ本を決めることがほとんどでしたが、今回、参加者から意見が出て、コースター裏に書名を書いての投票となりました。なんだかんだ言って、人前だと素直な意見が出しにくい気持ちも分かりますので、これはとてもいいアイデアだったと思います。
なお、チャンプ本の副賞は、前々日の深川お化け縁日で仕入れた「ふだん使いできるちのりちゃんグッズ」(シールとマグネット)でした。(⇒ちのり文庫さんのHP


ということで、一通りの説明を終えましたが、実際に、これらの本を読んでも読まなくても、参加した人たちが次に読む本を選ぶきっかけになり、また、バトラーの人となりを少しでもよく知ることが出来たのではないかと思います。皆さんの本のセレクションが素晴らしすぎて、反省点がほとんどない第1回になってしまいましたが、波乱含みの(笑)第2回も開催したいと思いますので、オリ馬鹿の皆さん、是非よろしくお願いします。

*1:渋谷駅構内に ある巨大壁画と同タイトルのシングル「明日の神話」の歌詞の中には「太郎と敏子」が出てきます。

*2:こちらを参照⇒Wikipedia

*3:参考記事⇒http://www.nationalgeographic.co.jp/science/space/solar-system/orbital.html