Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』1巻〜5巻の感想

こうやって感想を文章にまとめていていつも思うが、特に漫画については一番スラスラ書けるのは最終巻を読み終えるまで。完結する前なら、そのときに何となく思っていることと絡めながら、物語への期待感をエンジンとして色んなことが書ける気がする。
物語が完結してしまうと、「今後の展開への期待感」という原動力がなくなってしまう。終わってから全体のテーマを考えたりするのは、それはそれで好きだけれど、それまでとは違うモードに切り替えないといけない。
それもあって、あれだけ盛り上がったのに、最終巻だけ感想を書いていない漫画が何冊かある。
たとえば、浦沢直樹『MONSTER』とか、山岸涼子日出処の天子』とか…。


さて、『うさぎドロップ』は、今6巻まで読み終えている。1巻ではそれほど気が付かなかったが、2巻、3巻と読み進めると、他の漫画とは異なる視点が多くて惹きつけられ、5巻から唐突に第2部が始まる展開にショックを受けた。聞けば最終巻は、色々と語りたくなる展開が待っている作品と知り、こういう漫画こそ、最終巻を読み終える前に感想を残しておく必要があると感じたのだった。
19世紀の日本学者バジル・ホール・チェンバレンは、来日したばかりのラフカディオ・ハーンにこう言ったという。

早急に第一印象を必ず書きとめておきたまえ。いいかね、第一印象というものは霧のように儚い。いったん消えてしまえば、二度と君のもとに戻ってくることはないだろう。しかし、今後、君がこの国で経験するであろう、いかなる異国情緒とくらべても、この第一印象以上に魅惑的なものはないのだ。*1

すでに5巻までは再読だが、ちょうど忘れた頃に読み直したので、「第一印象」的な何かは少しずつ残せると思う。小出しにして1〜5巻までの感想を並べていくことにする。

宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』6〜10巻の感想

*1:引用はコリン・ジョイス『「ニッポン社会」入門』からなので、多分、コリン・ジョイス訳。