Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

プリベンタブル・デス(避けられた死)

阪神・淡路大震災から来年で10年。NHKスペシャルでは9月1日の「防災の日」を前に、今、大地震に見舞われた場合、災害医療システムが十分機能するのか〜その現状を徹底検証する。

災害医療について取り上げたNHKスペシャルを見たので少し整理。
神戸の震災時に、緊急の医療体制が整っていれば、また、設備のそろった病院に搬送できれば命を救うことができた人達がたくさんいた、という経験から、日本でも各地で医療の見直しが始まっているという。
残念なことに、ここでも見本となるのは欧米(取り上げられていたのはドイツ)。「災害大国」であるはずの日本は、欧米よりも災害医療の体制が整っていないという。
災害医療体制改善のためのポイントは以下の3つ。

  • 病院同士の情報共有が可能な情報システム
    • 震災時には、連絡を取り合う手段がなかったため、受け入れ可能な病院が近くにありながら、設備のない(もしくは壊れてしまった)病院内で処置の施しようがなく、死を迎えた患者が多数いた。
    • 問題点:病院によっては整備したシステムを十分に利用できていない。(ベッドの空き等の情報は、各病院が入力する必要)
  • ヘリによる患者の迅速な搬送(救急ヘリの整備)
    • 震災時には、医療ヘリという考え方がなく、ほとんど利用されなかった。(ヘリは、支援物資、情報収集に用いられた)
    • ドイツでは救急車代わりに救急ヘリが出動。78カ所の拠点から国内どこにでも15分以内でたどり着くことが可能。
    • 消防ヘリ、防災ヘリ以外に、自衛隊、民間機の利用
    • 問題点:自治体の負担が大(ドイツは健保で負担)
  • 医師側のアプローチ=なるべく早い段階での治療
    • レスキュー隊とともに医師が現場に出動
    • 「待ちの医療」でなく「現場からの医療」
    • 災害の専門医の育成(かなり広い分野の患者を診る能力が要求される)

個人的な意見はうまく整理できない。簡単に列記。
番組のまとめでは「連携」が強調されていた。自治体だけでなく、病院も、「縦割り」意識が強く、地域内の横のつながりが弱いという。確か、ヘリを配備していない市町村で起こった交通事故時に、隣接する市町村がヘリを出動させなかったために、患者の命が失われたというような、もろに縦割りの弊害が起きている事態も以前テレビで見た覚えがある。
また、根本的なことだが、災害医療に対する医師や自治体の認識不足が、不測の事態に対する迅速な対応を難しくする原因であることも確かのようだ。番組では、かなりリアルな訓練の様子が映し出されたが、あそこまで真に迫った訓練を行っている自治体、病院は少ないように思う。
ヘリの不足については、自衛隊の予算をうまく回して対応出来ないものかと思う。先日の新潟、福井の豪雨災害の際には、自衛隊機も活躍したようだし、そういうことこそ国民に望まれる金の使い方だと思う。