Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

土居丈朗のインタビュー

エキサイトブックスの連載記事は、全部追っかけているわけではないけど、どれも面白く、僕の読書欲を刺激します。
中でも、金曜日更新の「愛と学問の旅立ち」はお気に入りで、土居丈朗も、このインタビュー記事で知りました。
以下、インタビュー記事のポイントを引用します。
まず、財政危機そのものの説明が難しいということについて。

でもこういう説明をしても、なかなかわかってもらえません。財政危機の話は、説明すれども頭が混乱するだけで切迫感のないアリ地獄に陥っちゃっているというか。財政危機というのは、財政状態の危機でもあるんですけど、同時に説得できない危機でもあるんです。

次に財政再建の二つの軸と消費税の増税について。自民党民主党マニフェストでは、明確に増税と書かなかったけど、「俺は増税はしない、多分しないと思う、しないんじゃないかな、まちょっと覚悟はしておけ」という話。

消費税10%はほぼ合意できてますね。消費税が1%あがると、2兆円の税収が入ってきます。だから5%アップの10%にすると、いまより10兆円増える。それでも単年度の借金の半分にはなりません。全然、足りてない。そこでもう一つ、国から地方への補助金を減らす。いま地方交付税が16兆円ありますけど、私はこれを半分にできると思っています。そうすると、8兆円浮きますよね。これで国が毎年している借金の半分以上は減らせます。消費税アップと地方交付税のカット、この二つが財政再建の軸だと私は思っています。

 
あと、公共事業を減らせば増税が要らないのでは?と思っている人には、この話。

――公共事業は減らさなくていいんですか?
土居 残念ながら公共事業を切っても、借金はそんなに減らせないんです。国中の公共事業を全部やめてもたったの6兆円ですよ。年間30兆、40兆の借金を考えると、焼け石に水程度の効果しかありません。
 公共事業には誤解もあって、日本の新たな借金の大半は公共事業のためだと勘違いしている人がけっこういます。たしかに昔はそうでしたけど、いまは全然違うんです。小泉内閣になってからこの5年、公共事業はかなり減ったんですね。ですから、そのうえさらにムダな公共事業を減らしても、借金はあまり減らないんですよ。もちろん、ムダなものは減らすべきだとは思いますけど、それが増税の反対理由や代替案にはならないということです。

 
で、消費税を上げても、それだけじゃ増え続ける社会補償費に対応できない、と言う話。やっぱり増税が必要。

土居 だから消費税10%、地方交付税カットでハイ終わりじゃなく、社会保障費の増額を埋める財源を確保できる制度を作っていかなくちゃいけない。たとえば所得税の累進構造を高くして、高所得者の人から税金をたくさんとるようにするとか。

最後に、専門である地方財政について。

――土井さんの考える理想的な地方分権の姿はどんなものでしょう?

土居 まず補助金に関しては、現状の国庫支出金や地方交付税は廃止の方向で進め、それを換骨奪胎して、警察、消防、義務教育、生活保護といったナショナル・ミニマムな部分は100%国が負担する新しい交付金の仕組みを創設するのが望ましいと思います。
 それから重要なのは、課税自主権をもっと強化することです。三位一体改革では、税源の移譲に固執しているようですが、それだけでは十分な収入になるとはいえませんし、国の財政が悪化することで、税源の移譲がスムーズにいかなくなるおそれもあります。
 それよりは、地方の課税自主権を強化して、自治体が住民に直接増税を問うぐらいの覚悟でなければ、地方分権は実現しません。福祉サービスを充実させたければ、市長選挙とか町長選挙などで住民に増税を訴えて実施すべきです。でも、日本では今まで国も地方もそんな立候補者はいなかったわけです。市長や村長はどうしていたかというと、お金が足りないとなると国に陳情にいってお金をたかっていた。

新書を買わずに、このインタビューを読むだけでも、重要なポイントは掴めると思います。それにしても35歳で自分と4歳しか違わないとは思えないです。今後も活動を追っかけたい人の一人です。