Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

シェイクスピア『マクベス』★★

マクベス (岩波文庫)
正直言って、筋はつまらなかった。
400年も前の作品なので、さすがに展開には期待しなかったが、深い心理描写があるわけでもなく、何というか、骨格だけで出来ている物語みたいだ。(シンプル過ぎるつくりは、脚本という形式も関係があるのだろう)
主人公マクベスがダンカン王を殺したことをきっかけとして、栄光から転げ落ちていくという大まかなあらすじは、推理小説などではよくあるパターン。ただ、繰り返すが、これは400年前の話なので、「使い古し」という言葉には当たらないのだろう。むしろ「使い始め」であるところが凄いところ。
本編がスカスカしているので、巻末の木下順二*1の解説で、やっと腹八分という感じ。この解説を読むと、作品の名場面を振り返ることが出来るだけでなく、登場人物の対比、「芝居」としての作品の味わい方、英語と日本語の歴史の違い*2など、面白い分析が多い。
ただ、本編だけ見ると、やっぱり足りないなあ。

*1:1914年生まれなので、2005年現在91歳。→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E4%B8%8B%E9%A0%86%E4%BA%8C

*2:日本語は1930年代に言文一致が完成するまでは、基本的に古語で書かれており、耳にしても理解できないが、英語は文法としては基本的に同じ。